2019年2月05日（1900号） ピックアップニュース
燭心
GAFA（グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン）の強大化が止まらない。4社を合わせた売上高は約6000億ドル（65兆円）。時価総額は約3.4兆ドルで、約20年で世界第4位のドイツGDP並みとなった。世界人口75億人のうち、12億人が毎日フェイスブックをのぞき、1日に「ググられる」質問は約35億。これらのビッグデータが支配力の源泉である▼私たちは、「同意します」をクリックするだけで、自分でも覚えきれない個人情報を無防備に、時には写真や動画付きで外部に提供している。何を買ったか、いつどこで誰と何を食べたか、何に興味を持ち、どんな意見を持ったか。ネット上ではこれらの多様な情報が分析される。米大統領選では流出したフェイスブックの情報で、個別感情に訴える広告戦略を仕掛けた。あるライブ・イベントでは観客の表情をAIが8種の感情に分析し、その後のイベント構成を考える試みも始まっている。もはや時々の感情すら個人のものではないのである▼今のICT時代では、莫大な個人情報が半永久的に残存する。外見や住居や所有物だけでなく、人間関係や趣味、思想信条、生態、行動、生理までもが蓄積されている。漏洩すれば日記や通帳を奥さんに見られたどころではない▼「私のことを一番知っているのは私」ではない時代が来る。過去の記憶と今の感情が人間の行動を決めるならば、今日一日、一カ月、あるいは人生そのものを決めるのは自分じゃないかもしれない（空）
