2019年2月25日(1902号) ピックアップニュース
みんなでストップ!患者負担増 インタビュー(8)
署名は患者さんとの話のタネ 中央区・生田診療所 武村 義人先生
安倍政権は「1億総活躍社会」を掲げ、労働者数が増えたことをアベノミクスの成果と宣伝しています。しかし、近くの新聞集配所などを見てみると、夕方の時間になるとご高齢の方が新聞配達に出ていっています。高齢者が仕事をしているのは、わずかな年金だけでは生活が苦しいからであって、決して安倍首相の言うように景気が良くて仕事がたくさんあるからではありません。そんな中での消費税増税は生活を直撃するので、絶対にやめるべきです。
私の医院の周辺は、所得の少ない世帯、生活保護ぎりぎりの水準で暮らしている世帯が多くいる地域です。そういう方は医療費がとても大きな負担になっているのが現状です。そういった方にこの署名をお願いすると、多くの人が快く応じてくれます。特に75歳以上の窓口負担の2倍化という政府の計画を伝えると、とんでもないことだと憤る方が多いです。
協会は景品付きクイズチラシのように、患者さんと一緒に楽しめる取り組みにも力を入れています。当院でもこの秋から冬にかけて景品付きクイズチラシと署名運動にセットで取り組みました。クイズチラシに当選した患者さんから、「当たったよ」と声をかけてもらうと、自分のことのようにうれしく思います。
署名も3月末までの取り組みということでもう少しのがんばりです。クイズチラシも署名運動も、患者さんとコミュニケーションを取る重要なツールです。皆さんも患者さんと政府の負担増計画について話しながら、署名集めに一歩を踏み出してみませんか?
政策解説(6) 「介護保険」
安上がりサービス移行と負担増で空洞化
政府が進めるさまざまな患者負担増計画を解説する本シリーズ。第6回は、次々に制度改悪が進められる介護保険について取り上げる。利用料「原則2割化」狙う
医療の窓口負担増とあわせて、介護保険の利用者負担も次々に増やされている。2000年の制度開始時は1割だったサービス利用料だが、一定の所得がある場合には2015年から2割負担に、さらに2018年からは一部が3割負担へと引き上げられた。この上、財務省や政府は、利用料負担を「原則2割化」することを狙っている。
他にも、ケアプラン作成への利用者負担の導入や、介護老人保健施設・介護療養病床等の多床室の室料負担の導入などが計画されている(図)。
要介護1・2の生活援助も保険外し
政府は2015年度から、要支援1・2の人に対するサービスの一部を、介護保険の給付対象外とし、市町村が「ボランティア活動」などを利用して行う地域支援事業に移行させた。この結果、訪問介護や通所介護など、これまで利用していた介護サービスを、費用削減のため市町村が打ち切り、安価な地域支援事業しか受けられなくなるという事態が起こっている。政府は今後、さらに重度な要介護1・2の人へのサービスの保険外しも狙っており、「骨太の方針2018」には、生活援助サービスの地域支援事業への移行を進めることが明記されている。
介護保険は現在でも「保険あってサービスなし」と言われているが、これらの計画が実行されれば、介護保険は利用できないものになってしまう。医療・介護保険制度は国民の健康を守り維持するためのものであり、このような負担増はとても許されない。
図 次々進む介護の負担増