2019年3月15日(1904号) ピックアップニュース
燭心
教育において学生との距離感に悩む教員は多い。優しくすると甘えるし厳しくすると反発からやる気をなくす。学生が悪いのではなく、どちらも教員側の教育力のなさが原因である。心理学で用いられるブーメラン効果とは、人を説得するつもりがかえって相手の強い抵抗や反発を招いてしまう現象のことをいう▼2月24日実施の「辺野古米軍基地建設の埋め立ての賛否を問う県民投票」(投票率52.5%)は、43万票を超える圧倒的な数の反対票が投じられ、県民の意思が明確に示された。にもかかわらず、政府は土砂投入を再開した。彼らの言い分はこうだ。「有権者の6割は反対していない、47.5%が棄権した、絶対得票率は37.6%にとどまる」。翻って、17.5%と6.6%。これらは2017年の衆院選(投票率53.7%)における有権者総数に対する自民党と公明党の得票率だ。合わせてもわずか24%の絶対得票率で政権を運用する与党の言葉に説得力はない▼県民の反対の理由は明確だ。一つには住民の命を脅かす基地は沖縄にはもういらないという県民の願い。第二には、これ以上の環境破壊は許さないという強い意思である。対して、賛成の理由はこれまで明確に示されたことはない。普天間の危険性除去は新基地建設の理由にはならず、他の道を示さずに「この道しかない」と繰り返すことは不誠実である。名護市長選後に菅官房長官が言い放った「選挙結果がすべて」の言葉は、ブーメランとなって政府に突き刺さる。(九)