2019年4月15日(1907号) ピックアップニュース
燭心
1400年前、隋の文帝の時代、貴族の中に皇帝より家柄が良いと言って、政権を 簒奪 しようとする者が出てきた。それに対抗するため科挙制によって貴族や身内を抑え、官僚によって国を治めた。日本は遣隋・遣唐使を送り、律令制を取り入れたが、科挙や宦官の制度は導入しなかった▼明治新政府は日本を近代国家にするため官僚養成機関として東大法学部を作り、特権的な行政官僚体制で、独善的、画一的、無謬 性、明確な権限委任、文書による事務処理が行われ軍事大国となった。終戦後も軍部は解体したが官僚制は生き残り、官僚の、官僚による、官僚のための政治が続いた。高度経済成長期には有効であったが、安倍政権は元来官僚より政治家主導があるべき姿であるとして、内閣府人事局に官僚の生殺与奪権を握らせたことにより、副作用で官僚が忖度するようになったのは、モリカケ問題に顕著である。お役人は栄耀栄華 が得られなくなり、面従腹背はやりにくくなった▼大学受験生は敏感に反応して、奇 しくも今年は東大文Ⅰより文Ⅱの方が偏差値が高くなるなど、社会がparadigm shiftしている。安倍首相、麻生大臣をはじめ自民党には貴族的世襲議員が多く、これらは血筋は良いが頭脳明晰とは言いがたい。今後も官僚VS貴族の1400年前の中国のようになるのか?▼折しも改元で「令和」となるが、論語には「巧言令 色鮮 し仁」と記載されている。令色とは愛想良く君子に振舞うことであり、またしても忖度と同根だ(鼻)