2019年4月15日(1907号) ピックアップニュース
小児の夜間・休日応急診療所アンケート結果
こども医療費無料化でも夜間・休日受診者数は増えず
調査は昨年11月、県下18の夜間・休日応急診療所を対象に実施。2012年度から2017年度までの小児を含む受診者数、小児の受診者数、小児受診者の転帰などを聞いた。
夜間・休日応急診療所の受診者数は、6年間で年間13万5154人から12万9416人へと約96%に減少。一方、こども医療費を中3まで無料とする自治体数は、2012年度時点では10市町だったが、2017年度には35市町と3.5倍に増加している(図)。
こども医療費助成制度(窓口負担軽減)が広がったが、夜間・休日応急診療所の受診者数は増加していないことが明らかとなった。
地域別にみても、神戸市では中3まで無料にはしていないものの、所得制限を撤廃するなど、毎年医療費助成が拡充されているが、市内2カ所の応急診療所の受診者数は2012年の36011人から35726人と横ばいとなっている。
加古川・高砂地域では、2012年度時点で中3まで無料化していた自治体は0だったが、2017年度には加古川・高砂・播磨・稲美の4市町すべてが中3まで外来医療費を無料とした(高砂市、播磨・稲美町では所得制限も撤廃)。その間の加古川夜間急病センター受診者数は、約1割減少している。
こどもの窓口負担完全無料化実現を
これらの結果からは、こどもの医療費助成制度は「安易な受診」を助長していないことが考察される。そもそも「安易な受診」の厳密な定義と判断は、医療者ではない患者にとって難しいものである。それよりも医療費を増やしてはいけないという思い込みや、窓口負担により必要な受診を抑制してしまう方が問題である。
協会は今回の結果を受け、子どもの医療費窓口負担無料化の完全実施を求め、さらなる運動を進めていく。
二次救急・診療報酬改善求める声も
アンケートの自由意見欄には、「地域において小児の外科・整形外科・脳外科を診てもらえる医療機関がほとんどなく困っている。救急告示病院であっても『子どもはダメ』と言われることが多い」「『急変時』の受診に対応しているが、全て『初診』に等しい状況であることをふまえて、診療報酬も『初診』としていただきたい。せめて手のかかる『トリアージ』に対しての加算『院内トリアージ実施』は再診でも算定できるようにしていただきたい」「勤務医師の確保が難しい(会員医師の高齢化)、転送病院(二次救急病院)が少ない」など、小児救急の維持が困難であるとして、二次救急病院の充実や診療報酬の改善を求める声が寄せられた。図 夜間・休日応急診療所 アンケート結果