兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2019年5月25日(1910号) ピックアップニュース

燭心

 改元騒ぎもそろそろ落ち着いてきたが、私個人の生活は何も変わらなかった。新しいハンコ作成と書類の元号変更ぐらいだろうか。前回は崩御のため自粛ムードであったが、お祝いモードの方が好ましい。新たな出発のきっかけにするという意味では、いにしえにあったように、天変地異や凶作の年に改元するのも一つの選択肢かもしれない▼皇位継承と改元によって、日本の時代が途切れたり、激変したりすることは無いだろうが、イエスキリストの生誕を区切りとする西暦で、日本国民が時代を語るのもいかがなものか。グローバリズムは国家、国民のまとまりを分断しがちだ▼日本国憲法第1条は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と定める。戦前「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」であり「国体の護持」すなわち天皇を中心としていた日本国にとって、最大の「押し付け」条文とも言える。この条文は、同時に「国民主権」を定めているが、天皇には一般国民が享受している基本的人権は認められていない。「今日は外食で、餃子とラーメン」というような選択さえもできないだろう。「基本的人権」と「象徴天皇制」は、生身の人間が「象徴」を男系男子で世襲し続けなければならない大いなる矛盾であり、天皇を煩わせて、制度の安定性を危うくしている。本人の意向は顧みられず、周辺が個人的希望で万事を進めていく。望んで就くような地位ではない。(空)
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