2019年7月05日(1914号) ピックアップニュース
燭心
久しぶりに図書館を訪ねた。〝六甲の地理〟という本が目に付いたので手に取った。六甲山は地震により高くなった山で周辺は断層の巣であり、多くが活断層であると記載されている。ちなみに神戸市民なら馴染みの地名の付いた、渦が森断層、諏訪山断層、五助谷断層、布引断層など。ご丁寧にそれぞれに活断層の注意書き。発行年月日を見ると1987年であった。もし当時この本を読んだとして、8年後の未曾有の阪神・淡路大震災を想定できたであろうか?▼当時は関西に地震は起こらないという根拠のない思い込みがあった。もちろん県下でも円山川水害などが起こっているが、とりわけ神戸は多く、昭和13年(住吉川、有馬口などに幾多の水難の碑がある)を筆頭に幾度となく。また第二次世界大戦時の大空襲による壊滅的な被害もあった。一都市でこれだけのダメージを短期間に受けることはそう多くないと思う。このことは財産的損失を含め、その街の文化や活性に大きな影響があろうことは想像に難くない▼隣の京都を見ると、何百年と大地震や大火がないし、空襲も受けなかった。そのためか重層な文化を育み、豊富な財力で新しい産業を創造している▼阪神・淡路大震災を機に「被災者生活再建支援法」が誕生し約20年。しかし東日本大震災の年2011年に予定されていた改正は実現されぬままである。被災者には何も瑕疵はない。大災害による個人、地域の格差をなくすために、同法充実への運動に取り組みたい。(蓮)