兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2019年7月15日(1915号) ピックアップニュース

署名のチカラで歯科診療報酬大幅引き上げを

 「保険で良い歯科医療を」全国連絡会が、2007年から2年に1度取り組んでいる歯科請願署名は、今回で7回目となる。兵庫協会も、過去最高の1万5千筆を目標に、「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会とともに署名運動を展開している。署名を集める意義とこれまでの成果について解説する。

署名は請願権の行使と世論形成の手段
 請願署名は憲法で保障された国民の権利(請願権)で、選挙以外で国民の具体的な意思を人数で表明し、効果的に政策に反映する手段である。
 また、署名活動には、署名協力した人たちに、その内容を知らせ、世論をつくる役割もある。歯科署名を集めることで、歯科医療の現状を国民へ伝え、医療の充実を求める世論を形成するための重要な武器ともなる。
 協会、保団連が集める署名は、全国の協会・医会が全ての国会議員に誓願の趣旨と筆数を示し、紹介議員なるよう要請している。また、請願趣旨は全国会議員に配布され、委員会(歯科署名の場合は衆参の厚生労働委員会)で議論も行われる。
 選挙で選ばれた国会議員は国民の声に非常に敏感である。多くの署名を集め、多くの国会議員に国民の声を伝えることが、政府や与党の方針を修正させることにつながっていく。
歯科署名運動の到達と成果
 過去6回の歯科署名の国会提出数は23万~34万筆、紹介議員は37~84人となっている(表1)。
 署名提出の際には、国会内集会を開催する。集会では、歯科医療の問題や現場の厳しい状況について発言し、出席した国会議員らに、歯科医療充実をアピールする場となっている。
 07年以降取り組んできた歯科署名は、歯科医療政策に大きな影響を与えてきた。診療報酬の改定率では、歯科本体は2002年から06年までマイナス改定が続いたが、08年は0.42%、10年2.09%、12年1.70%、14年0.99%、16年0.61%、18年0.69%と、マイナス改定が叫ばれている中でも、わずかではあるがプラスを勝ち取ってきた(図1)。
 改定項目では、長期間据え置かれてきた基礎的技術料や、在宅や周術期関連での評価・引き上げが実現している。新規技術も改定ごとに導入されている(表2)。
いっそうの署名運動で歯科医療費の総枠拡大を
 これまで署名運動により歯科医療の改善を実現してきたが、基礎的技術料に顕著な低診療報酬の抜本的引き上げにはほど遠く、金属義歯やメタルボンドなど、すでに普及し定着している技術も保険導入されていないままである。また、歯科技工士の長時間労働・低報酬による、高い離職率など、「歯科医療危機」とも言われる窮状を打開するにはまだいたっていない。
 長らく続く国の「低医療費政策」を転換し歯科医療費の総枠拡大を実現するために、患者・国民と共同して、「窓口負引き下げ」「保険のきく歯科治療の拡大」「歯科医療費の確保」を請願項目にした歯科署名にさらなるご協力をお願いしたい。

表1 歯科署名提出数と紹介議員数
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図1 近年の歯科改定率
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表2 近年の主な新規技術の導入
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保険でより良い歯科署名

「保険でより良い」歯科署名
7/11現在 3951筆
署名は11月まで取り組みます。署名用紙のご注文は、電話078-393-1809まで。引き続きのご協力をお願いします!
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