2019年7月25日(1916号) ピックアップニュース
燭心
ストックホルム国際平和研究所によると、世界の軍需企業上位100社の2017年の売上高は約45兆円である。42社は米国企業で売上額は約25兆円。第1位は米国のロッキード・マーティンで、売上高は約5兆円に上る。日本は同社のF-35戦闘機を105機(総額1兆2180億円)購入する予定だ。政府は、護衛艦の空母化、イージス・アショアなど、今後5年間で27兆円の防衛力整備を行う。背景には「我が国の平和と安全を維持」するために、「我が国に脅威が及ぶことを抑止する」という考えがある▼この抑止力論が正論なら、世界平和のためには各国の軍事力を同程度にしなければならず軍事大国の軍縮と、他の国々の軍拡が必要となる。米国の核の傘に守られながら小国のミサイル開発や核開発を批判するのは「抑止力」による平和という考え方とは矛盾するはずだ。米国は世界最高の抑止力を持つ国家だが、それ故に先制的自衛権の発動を厭わず、自国の若者を犠牲にし、他国民の生命を奪ってきた▼果たして、大国の権力者や軍人、軍需産業の首脳部は、抑止力により平和が達成されると信じているのだろうか。「戦争の20世紀」を頼りに、「獣性」と「我欲」を制御できずにいるだけではないか。このような勢力は今も「平和」のための活動を画策している▼「抑止力」論は単なる悪事の言い訳に過ぎない。確信犯の場合はまだしも、心底信じている人は、幼稚な平和ボケであり、彼らの思うがままに操られるだろう。(空)