2019年9月25日(1921号) ピックアップニュース
燭心
世界野球連盟のU18ワールドカップが韓国で開催され、台湾代表チームがアメリカを破り高校野球世界一に返り咲いた。日本代表は過去最強のメンバーをそろえ初優勝を期待されていたが結果は5位に終わった。大会を取材したライターによると、異常に勝負にこだわる姿がコーチや監督さらには選手を追うメディアにも見られたという▼本来、ジュニアスポーツの国際大会は、見聞を広め国際交流を図ることが目的なのに「日の丸を背負う」という圧力によって他国選手との交流すら損なわれているという。韓国での試合を意識した高野連が、移動用ポロシャツから日の丸を外したことでも大きなバッシングを受けた。国を背負って戦う選手が日の丸を掲げないなんて言語道断だという▼まるで戦時中に逆戻りしたような論調ではないか。そして、多くのメディアもこれに同調した。本来自由に楽しむはずのスポーツを国威発揚のアイテムと捉え、選手の人権を無視して圧力をかけていく。日本代表チームの愛称にも、侍ジャパンやSAMURAI BLUE、なでしこジャパンなど戦闘をイメージさせるものや古い女性の価値観を押し付けるような復古調の文字が躍る▼このような愛称自体が世界的には珍しいとされるなか、スポーツ指導者だけでなく国民までもがナショナリズムを盛り上げる脇役として存在している。着々と進む一億総右傾化計画を頓挫させるには、戦争できる国に変えたい戦前回帰の思惑を持つ黒幕を引きずり下ろす以外に道はない(九)