2019年10月25日(1924号) ピックアップニュース
環境・公害対策部が兵庫県と懇談
兵庫県として「アスベスト健診」の確立を
懇談で森岡部長は、阪神・淡路大震災によるアスベスト曝露が十分に検討されておらず、リスク評価も公表されていないと指摘。アスベスト調査の再検証はどの課が担っているのかと質問。丹保氏が「震災当時の調査を国が行っていたのであれば、再検証も国が行うべきではないか。県の環境部局では、水大気課がアスベストの飛散防止対策を所管しているが、震災当時の国による調査にかかわっていたかどうかまでは把握していない」と回答した。阪神・淡路大震災での石綿飛散実態については、渡邉氏が「疾病対策課ではがんの予防・啓発に力を入れている。阪神・淡路大震災によるアスベスト曝露で不安を抱えておられる方もいらっしゃると思う。疾病対策課としては、集団健診を受診してもらい早期発見に努めたい」とした。
上田先生からは、来年3月で石綿曝露者の健康管理に係る試行調査が終了することに対し、県としては今後どのような対応をとっていくのかと質問。渡邉氏は「今年の7月31日に大阪府と一緒に国に対して試行調査への財源の確保、国民への説明責任を果たすよう求める要望書を提出し、申し入れを行った」と回答した。森岡先生は「国が制度の確立を行わなかった場合、県が積極的に独自の制度の創設に力を入れてほしい」と要望した。
試行調査が集団健診の一環として行われていることに対して、上田先生は、「アスベストは潜伏期間が長く、アスベスト疾患を発症するのに、20~30年はかかる。アスベスト疾患に対しては、不特定多数を対象とする集団健診ではなく、ハイリスク群を対象にした長期間にわたる経過観察を目的とする実態調査を行うべき」「現在の肺がん検診はアスベスト疾患を見つけるのにはそぐわない。集団健診と区別する『アスベスト健診』の確立が必要だ」と訴えた。また、試行調査の問診票についても「職業曝露に関する項目はあるが、阪神・淡路大震災や建物解体など、環境曝露に関する項目がない。環境曝露に関する項目も入れてほしい」と要望した。
県は「県から国に対して要望書を提出したので今回の懇談のことも含めて今後どうするか検討していきたい」とした。