兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2019年10月25日(1924号) ピックアップニュース

政策研究会 日韓問題を歴史的に紐解く

1924_08.jpg

北東アジアの平和実現には日韓の相互理解が重要と解説した康氏

 協会は10月12日、政策研究会を協会会議室で開催。「日韓問題を歴史的に紐解く 北東アジアの平和のために」をテーマに、同志社大学嘱託講師の康宗憲(カンジョンホン)氏が講演し、会員ら19人が参加した。
 康氏は、在日韓国人2世で、75年にソウル大学医学部在学中に国家保安法違反容疑で拘束され、死刑判決を受けた経験を持つ(再審で無罪が確定)。その後、日本に帰還し、日本で平和学の研究を行ってきた。
 講演では、対立が続く日韓問題のきっかけの一つとなった日本企業による韓国の徴用者への賠償問題を中心に解説。日韓請求協定が結ばれた当時の韓国の政権は、植民地統治時代に日本政府に服務していた親日派の軍部独裁政権であり、日本と対等な交渉を行える状況でなかったため、その後、賠償を求める動きが大きくなってきたと背景を説明した。
 そして、日本政府による韓国統治についての認識の差が問題の根本にあり、合法的な統治で賠償問題はないと考える日本に対して、韓国は不当な植民地支配だったと考えており、その違いが現在も続いていると紹介。
 日本も批准している国際人権規約(B規約)でも、強制動員の被害補償が明記されているなど、植民地支配の不法性を認めるのが、国際的な規範となっており、韓国大法院が日本企業の徴用者に対する賠償責任を認めた昨年10月の判決は、この考え方に基づいたものであるとした。
 また、請求権協定で「解決済み」とされているのは未払い賃金などの補償だが、今回の判決は、不法な植民地支配のもと強制動員されたことに対する慰謝料を認めたもので、協定の対象外となっていると解説した。協定第二条に「両国間の請求権問題は最終かつ完全に解決された」とあることから日本政府は「解決済み」としていることについても、これは「国家同士の外交保護権の相互放棄を確認する」という意味で、個人の請求権を消滅させたものではなく、このことは日本政府も認めていると紹介した。
 北東アジアの平和の実現のためには、植民地支配の不法性を明示した新たな「歴史宣言」を採択し、日本と韓国の国民が隣人として、「相互理解に基づく民衆次元の和解」を行うことが重要であると語った。
バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方