2019年11月15日(1926号) ピックアップニュース
診療報酬引き上げへ
盛山衆院厚労委員長へ会員の声伝える
財務大臣の諮問会議である財政制度等審議会で財務省は「2%半ば以上のマイナス改定」「診療報酬本体のマイナス改定」を提案し、来年の診療報酬改定を巡る議論が活発化している。こうした中、協会は会員署名に寄せられた切実な医療現場の声を国会議員や関係省庁に届け、診療報酬の抜本的引き上げを求めた。
面会した盛山正仁衆議院厚生労働委員長(自民)は「医師の働き方改革や医師の偏在問題を解決するために、診療報酬体系をどうするのか連日、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論をしている。私の子も研修医となり、『他人事ではない』と改めて感じている。衆議院厚生労働委員長としての職務を果たす上で、ご意見を参考にさせていただきたい」と応じた。
山下芳生参議院議員(共産)は、「現場の先生方の切実な声をもとに、診療報酬引き上げ、患者窓口負担軽減を求めていきたい。社会保障のためとして消費税が10月から引き上げられたが、社会保障は改善どころか改悪が計画されている。貧困・格差を助長する消費税は増税ではなく5%への減税こそ必要だ」と答えた。
昼には、「~医師・歯科医師が訴えます!~今こそ!診療報酬の大幅引き上げ、患者負担軽減を!」国会内集会が開催され、医師・歯科医師ら130人が参加。全国から寄せられた計6674筆分の署名を国会に提出した。
冒頭にあいさつした武村義人副理事長(保団連副会長)が、「近年の度重なるマイナス改定によって、医療機関の経営が悪化した結果、スタッフの待遇改善もできないばかりか、兵庫県では各地で不採算分野である救急医療や、夜間・時間外診療、小児科医療等の休止・縮小が起こっている。医療従事者の長時間労働解消や地域医療の充実のためには、診療報酬の大幅な引き上げは最低限の条件だ」と訴えた。
要請行動は11月28日にも予定している。より多くの現場の医師・歯科医師の声を国会へ伝えることが、診療報酬大幅引き上げへの近道である。まだ協力されていない先生方には、11月13日にFAXで、医療機関へ署名用紙をお届けしているので、ご署名の上(ゴム印でも可)、FAX078-393-1802までご返信いただきたい。
厚労省・財務省担当官と懇談
厚労省へ過重労働の実態伝える
協会は厚労省にも診療報酬の引き上げを求めて懇談を実施。厚生労働省高齢者医療課の髙橋智明担当官と保健局医療課の堀俊太郎担当官が応対した。協会は、現場のスタッフ不足や過重労働の実態を伝えるとともに、加藤勝信厚生労働大臣宛てで医師・歯科医師要請署名を手渡し、診療報酬の大幅引き上げ、医師・看護師・介護職員の大幅増員・処遇改善、患者・利用者負担増中止を求めた。厚労省は、「現場で医療を実践されている先生のご意見を伺った。すばらしい国民皆保険制度を、持続可能な制度として存続させていくためにも、必要な医療、給付と負担について今後も検討していきたい」とした。
財務省
「給付と負担のバランスとる」
財務省交渉には兵庫協会から武村副理事長が参加。財務省側は八幡道典主計官が対応した。冒頭、住江憲勇保団連会長が「消費税増税もあり国民の暮らしは日々、苦しくなっている。この状況を財務省としてどう解決するのか。医療分野では患者負担の軽減と診療報酬の引き上げが絶対に不可欠だ」と訴えたのに対し、八幡主計官は「世界に冠たる国民皆保険制度を維持して次の世代に渡そうという思いは私たちも同じ。社会保障制度の持続可能性を高めるには給付と負担のバランスをとらなければならない」と応じた。これに対し武村副理事長は、「国民皆保険制度の持続というが、度重なる負担増で多くの国民が受診したくても受診を控えているという現状がある。低医療費政策ですでに国民皆保険制度は危機に瀕している。地域で医療崩壊が起きている。消費税増税で得た財源で医療費の抜本的な引き上げを行うべきだ」と迫った。