2019年11月15日(1926号) ピックアップニュース
第28回日常診療経験交流会に208人
経験を交流して診療の原動力に
分科会は2会場に分かれ、医師・歯科医師・薬剤師・看護師ら24人が「在宅胃瘻患者に経口摂取への移行を試みた症例」「糖尿病と歯周病の関係について」「リンパ腫外来の現状」「神経難病患者への往診」「近隣医科診療所での診療同行の経験報告」など多岐にわたる報告を行った。日常診療から得た気づきや工夫、研究について、会場では職種を超えた活発な意見交換がなされた。「2019空気の汚れ調査」など、日常診療に関連した研究内容について発表するポスターセッションも行われた。
特別講演
病気とは「ぼちぼち」つきあおう
特別講演では、仲野先生が「(あまり)病気をしない暮らし-がんは『運』である」をテーマに、がんの病理について解説した。まず、日本における病気別死亡率の推移を示し、1980年以降、日本人の死因の原因の1位はがんであることや、がんによる死亡率は上昇し続けていることを説明。一生の間にがんと診断される人は国民の半分にもなるとした。がんは細胞が無限に増殖する疾患で、遺伝子の突然変異によって発症することが分かっており、また加齢に伴うランダムな遺伝子変異の蓄積によって発症するので、長生きするとがんになることは避けることができないと、病理学の視点から説明した。
一方で、がん研究により「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」が発見され、これらの遺伝子に直接作用することでがん細胞の増殖を抑制する治療薬「分子標的治療薬」が開発され、がん治療の幅が広がったことを紹介した。また、従来は有効性が低いとされてきた免疫療法においても、オプジーボの開発など、進歩が起こっていると解説した。
講演の最後には「加齢に伴う遺伝子の突然変異は避けられず、治りやすいがんもあればそうでないものもある。がんもさまざまで治療法の選択は人生観にもよる。私の著書『こわいもの知らずの病理学講義』(晶文社)の中では、病気とぼちぼちつきあって生きることを勧めている」と話した。
当日は他に、救急フェスタ「CPR講習会」や、会員による絵画や写真などの作品を出品した「あなたと私の展示会」、医院新聞展示、薬膳茶の試飲コーナー、東日本大震災被災地物品・特産展、県下の特産品抽選会などが並行して開催された(次号以降に参加者の感想を紹介予定)。