2019年11月25日(1927号) ピックアップニュース
燭心
「リハ栄養」という言葉をご存じだろうか。日本リハビリテーション栄養学会が勧める考え方だ。理事長の若林秀隆氏に聞くと、「患者さんの栄養状態を考慮したうえでリハビリテーション(以下リハ)を行うこと」とシンプルな説明が返ってきた▼リハを行っている患者さんの中には、低栄養やサルコペニア(筋肉量・身体機能の減少)の方が多い。リハ施設で5割、病院でも4割ほどが低栄養の高齢者だという。リハを行っている方々について、本人やご家族、時に医療者さえも「後はリハをすれば良くなる」と考えがちだが、実際には栄養管理をしながらリハをしなければ、患者さんは良くならない。ずさんな栄養管理でリハだけを続ければかえって悪化する可能性すらあるという。栄養状態が悪い場合には、適切な診断・評価によってその原因を追究し、リハ内容を検討する必要がある、「栄養ケアなくしてリハなし」といわれるゆえんである▼ここではたとひらめいた。栄養状態を経済状態、リハを消費増税にそれぞれ置き換えると、さしずめ患者さんは消費者(国民あるいは日本)というところか。「消費者の経済状態を考慮したうえで消費増税を行うこと」「経済成長なくして消費増税なし」。ぴったりはまるではないか▼消費者が低栄養に陥り、筋肉量(収入)が減少しているときには、経管栄養や胃瘻(財政出動)を施してでも体力を向上させることこそが必要なのだ。これは延命治療ではなくまさに蘇生のための治療法である(九)