兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年1月25日(1931号) ピックアップニュース

主張 本年を展望して
政府の患者負担増計画に対峙する年に

 2020年が始まった。今年は診療報酬改定の年であるが、政府は改定率をマイナス0.46%と決定した。安倍政権下で4回連続のマイナス改定となる。医療現場の疲弊に一層の拍車をかけるものであり、断じて容認できない。また、医療や介護における患者・国民への大幅な負担増も計画されている。実行されれば、昨年の消費税増税に加えて、暮らしにさらなる負担がのしかかる。改悪中止を求めたい。
 昨年、政府の「全世代型社会保障検討会議」は、後期高齢者の窓口負担について、原則2割(低所得者は1割)とし、現役並み所得者の3割負担と合わせて3段階の窓口負担を設定する中間報告をとりまとめた。「世代間の公平」や「負担と給付のバランス」を口実とするが、受診抑制と医療費削減が目的であることは明白である。窓口負担の2割引き上げが受診抑制に「つながる」と答えた方が73%に上る(保団連パンフレット「どうなる?どうする?これからの医療・介護」より)など、政府の負担増計画は高齢者の健康破壊に直結する。そのほか、経済財政諮問会議が明らかにした「改革行程表2019」では市販医薬品類似薬の保険外しや受診時定額負担の上乗せ等も目論まれており、高齢のみならず、まさに「全世代」にわたる負担増計画である。
 介護保険においても、同様の負担増が同時に計画されている。財務省の予算建議には、利用者負担の2割化、ケアプランの有料化、要介護1・2の介護保険給付外しなどが盛り込まれている。ただでさえ大きな困難を抱える利用者・家族にさらに負担を強いるものである。通常国会には、補足給付(低所得者を対象にした施設等の入所費・食費負担の軽減措置)の改悪などの法案提出が予定されている。介護難民をこれ以上増やさないために、反対運動を強めたい。
 国民が安心して暮らせるためにも社会保障の拡充こそ、政治が最優先で取り組むべき課題である。私たち医師・歯科医師も、十分な診療報酬と低い窓口負担の下でこそ、最大限の力を尽くせる。「自助」「共助」の名の下で公的医療・介護が切り崩されようとしている今、国民医療と社会保障を守るための運動に力を注ごう。協会は新年から「みんなでストップ!負担増」署名運動をスタートした。県民の声を国会に伝え、改悪阻止に向けて全力で取り組むことを、年頭の決意としたい。
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