2020年2月05日(1932号) ピックアップニュース
政策研究会
製薬優遇の高薬価を引き下げ技術料の引き上げを
竹田先生は、イギリスの薬価を1とすると日本の薬価は2.22になり、これはフランスの1.14、ドイツの1.68と比べても高く、全国民を対象にした公的な医療制度がないアメリカを除くと先進国最高になると紹介した。またその背景について、製造原価だけでなく研究開発費や営業利益などを積み上げた上でさらに利益率を上乗せして薬価を決める「原価計算方式」が多くの新薬で採用されていることや、メーカーの予想販売額を大幅に超えて売れた医薬品の薬価引き下げが小幅であること、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」として、薬価改定の際に価格を補填し薬価を維持する制度があることなど、詳細に指摘した。
その上で、上場製薬企業の利益率は15%と他の製造業と比較して突出しており、そこまで製薬企業を優遇する必要はないと訴えた。
また、高薬価に対する保団連の取り組みとして保団連の調査がきっかけとなり、オプジーボの薬価引き下げが行われたことなどを紹介した。
さらに今後の流れとして、バイオ医薬品の普及など、さらに高価な薬品が上市されるが、実際に開発したベンチャー企業を大手製薬企業が高額で買収するための費用が薬価に上乗せされているとして、アカデミアで明らかになっている製造原価はそれほどでもないと、大手製薬企業の手法を批判した。
最後に、以前のように薬価引き下げで得た財源を技術料に回すことを合わせて要求する重要性に触れ、薬価引き下げと技術料引き上げを求める全国の運動への協力を訴えた。
会場からは、「本日の話の一部でも国民や患者さんに広げていく必要がある」などの声が出された。