2020年3月15日(1936号) ピックアップニュース
新型コロナウイルスの感染拡大を受け緊急要請
政府は感染対策に責任果たせ
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、会員医療機関から「感染者が受診した場合、休診しなければならないのか」「感染の不安から患者さんの受診が減っている」「医師が検査の必要を認めても、保健所が検査してくれない」「マスクや消毒液が不足しつつある」などさまざまな声が寄せられている。協会はこれらの意見をまとめ、厚生労働省など関係機関への緊急の申し入れを強めている。
協会は3月7日、マスクや消毒液の安定供給等を求めた「新型コロナウイルス感染症に関して医療体制の充実を求めるとともに過度な人権制限に反対する」声明(前号既報)に引きつづき、「新型コロナウイルス感染症に関する要望」「新型コロナウイルス感染への対応に伴う診療報酬改定実施日の延期を求める緊急要請書」と題する二つの文書を確認。厚生労働省など関係機関に申し入れた。
「新型コロナウイルス感染症に関する要望」では、安倍首相が「かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします」と記者会見で明言したことを受け、国民に現状での受け入れ体制を丁寧に説明すること、医療機関が必要な感染対策等を実施できるよう財政援助を行うことを求めている。また検査体制や、帰国者・接触者相談センターの相談体制の強化、感染者の来院を受けた一般の医療機関が休診する際の財政支援、医療機関が電話等を用いた診療で処方を行った場合に各種「管理料」等の算定を認めることなどもあわせて求めている。
「新型コロナウイルス感染への対応に伴う診療報酬改定実施日の延期を求める緊急要請書」では、説明会等が開催されないまま4月に改定が実施されれば、医療現場が混乱するとして、診療報酬改定を半年間、延期することを求めている。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、協会は3月7日に「新型コロナウイルス感染への対応に伴う診療報酬改定実施日の延期を求める緊急要請書」を採択するとともに、「新型コロナウイルス感染症に関する要望」を発表し、関係機関に送付した。以下に全文を掲載する。
内閣総理大臣 安倍晋三 様
厚生労働大臣 加藤勝信 様
新型コロナウイルス感染への対応に伴う診療報酬改定実施日の
兵庫県保険医協会は、国民医療の充実と向上をはかるとともに開業保険医の生活と権利を守ることを目的とした、医科・歯科開業医、勤務医あわせて7,500人で構成する団体です。
さて、今般の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、兵庫県を含めた各地方厚生局による改定時集団指導(新点数説明会)をはじめ、診療報酬改定説明会等の中止が次々と発表されております。今後増加が予想される新型コロナウイルス感染疑い患者のプライマリケアでの対応に加え、改定内容について説明を受ける機会が十分ないまま4月から新点数を運用することに、地域の医療機関は大きな不安を覚えています。
つきましては、今次診療報酬改定について下記のとおり要請いたします。
一、2020年4月1日施行予定の診療報酬改定を、少なくとも9月末日までの半年間、延期すること。
一、上記の改定延期とは別に、歯科の保険医療材料「金銀パラジウム合金」については、医療機関が支払う購入価格が保険価格を上回る「逆ザヤ」の現状を解消するため、必要な対応を即時講じること。
内閣総理大臣 安倍晋三 様
厚生労働大臣 加藤勝信 様
・診療可能な医療機関を拡充し、検査体制を強化すること
政府は「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」で、国民に対し「感染の不安から適切な相談をせずに医療機関を受診することや感染しやすい環境に行くことを避けていただくようお願いする」とした。
一方、安倍首相は記者会見で「来週中にPCR検査に医療保険を適用いたします。これにより、保健所を経由することなく民間の検査機関に直接、検査依頼を行うことが可能となります」「かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします」と述べた。
国民に医療機関受診を控えさせることは、新型コロナウイルス感染症以外のインフルエンザや肺炎等の早期治療を遅らせ、患者を危険に晒すことにもなりかねないため、診療可能な医療機関を拡充し、検査体制を強化すべきである。
・多くの医療機関が感染対策を講じて診療できるように、必要な財政援助を行うこと
医療機関が診療を行うためには、診療時間や動線を区分する等の感染対策が必要であり、ましてや検体採取には医療従事者が感染する危険性が高い。医療従事者の感染を防ぎ、一般患者の健康を守りながら、より多くの医療機関が感染対策を講じて診療できるように、必要な財政援助を行うべきである。
・医療提供体制を国民・患者に丁寧に説明し、保健所や帰国者・接触者相談センターの体制強化を行うこと
感染を疑う患者の受け入れは、現状では非公表となっている869の「帰国者・接触者外来」を持つ医療機関でしかできないため、感染を疑う患者は、保健所や帰国者・接触者相談センターに相談することが必須となっている。さらに、相談者が帰国者・接触者相談センターに問い合わせても、特定の医療機関を示すことなく、相談者自身で適切な医療機関を調べて、受診するように指示されているとの事例もある。
現場での混乱を避けるため、政府は現状の医療提供体制を国民・患者に丁寧に説明し、保健所や帰国者・接触者相談センターの体制強化を行うべきである。
・医療機関での診療体制、就業制限等の指針を示すとともに、休診中の財政支援を行うこと
既に感染者の来院を受けた一般の医療機関では、保健所と相談の上で14日間にわたる外来の閉鎖などの措置をとっているが、この措置は法令等に基づくものでなく、その対応も保健所によって一律でない。感染拡大防止と医療提供体制維持の観点から、感染者を診療した場合、医療従事者に感染者が発生した場合等の歯科を含む医療機関での診療体制、就業制限等の指針を示すとともに、休診中の財政支援を行うべきである。
・慢性疾患等の管理を行う医療機関には、各種「管理料」等の算定を認めること
感染を疑う患者は「適切な相談をせずに医療機関を受診することや感染しやすい環境に行くことを避けていただく」との政府方針やそれに関する報道等により、多くの慢性疾患等を有する定期受診患者等が医療機関の受診を控える事態が起きている。厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」等の事務連絡を発出し、医療機関が電話等を用いた診療で処方を行うことを認める等の対応をとっているが、各種「管理料」等は算定できない。
現在の不安や混乱の状況下では、慢性疾患を有する患者には、より一層丁寧な指導、管理が必要であり、その管理を行う医療機関には、各種「管理料」等の算定を認めるべきである。
厚生労働省
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、厚労省は診療報酬上の臨時的な取り扱い等について関係機関へ通知している。以下はその抜粋だが、詳細は通知を参照されたい。
【電話や情報通信機器を用いた診療】
慢性疾患の定期受診患者を電話や情報通信機器を用いて診察した医療機関は、これまで処方していた慢性疾患治療薬を処方の上、医療機関または患者が処方箋をファックス等で薬局に送付することで、電話等再診料、外来診療料(レセプトの摘要欄に電話等による旨及び当該診療日を記載)、処方箋料を算定できる。
その場合、医療機関は処方箋を保管し、後日薬局に当該処方箋を送付するか、患者が医療機関を受診した際に処方箋を手渡し薬局に持参させる。
医療機関がファックス等で処方箋を薬局に送付した場合は、診療録に送付先の薬局を記録する。
処方箋のファックス等による送付が患者からあったとの連絡が、薬局より入った場合も、診療録に当該薬局を記録する。この場合、同一の処方箋が複数の薬局に送付されていないことを確認する。
【施設基準】
今般の学校等の臨時休業によって職員が一時的に不足した医療機関や、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増した医療機関、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関等に職員を派遣したことで職員が一時的に不足する医療機関については、当面、次の事項について施設基準より1割以上の一時的な変動があった場合でも、変更の届出を行わなくてよい。
・月平均夜勤時間数
・1日当たり勤務する看護要員(看護師及び准看護師又は看護補助者)の数
・看護要員の数と入院患者の比率
・看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率
2020年度診療報酬改定研究会(医科・歯科)は
3月22日から4月23日まで予定しておりました診療報酬改定研究会は、新型コロナウイルスの影響を鑑み、すべての開催を中止いたします。改定研究会の内容は、協会ホームページ内会員限定ページにて動画配信いたします。
冊子『医科 点数表改定のポイント』、『歯科 改定の要点と解説』は、3月下旬頃発送を予定しております。
この件についてのお問い合わせは、電話078-393-1840(医科)、電話078-393-1809(歯科)まで
協会は3月7日、マスクや消毒液の安定供給等を求めた「新型コロナウイルス感染症に関して医療体制の充実を求めるとともに過度な人権制限に反対する」声明(前号既報)に引きつづき、「新型コロナウイルス感染症に関する要望」「新型コロナウイルス感染への対応に伴う診療報酬改定実施日の延期を求める緊急要請書」と題する二つの文書を確認。厚生労働省など関係機関に申し入れた。
「新型コロナウイルス感染症に関する要望」では、安倍首相が「かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします」と記者会見で明言したことを受け、国民に現状での受け入れ体制を丁寧に説明すること、医療機関が必要な感染対策等を実施できるよう財政援助を行うことを求めている。また検査体制や、帰国者・接触者相談センターの相談体制の強化、感染者の来院を受けた一般の医療機関が休診する際の財政支援、医療機関が電話等を用いた診療で処方を行った場合に各種「管理料」等の算定を認めることなどもあわせて求めている。
「新型コロナウイルス感染への対応に伴う診療報酬改定実施日の延期を求める緊急要請書」では、説明会等が開催されないまま4月に改定が実施されれば、医療現場が混乱するとして、診療報酬改定を半年間、延期することを求めている。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、協会は3月7日に「新型コロナウイルス感染への対応に伴う診療報酬改定実施日の延期を求める緊急要請書」を採択するとともに、「新型コロナウイルス感染症に関する要望」を発表し、関係機関に送付した。以下に全文を掲載する。
内閣総理大臣 安倍晋三 様
厚生労働大臣 加藤勝信 様
新型コロナウイルス感染への対応に伴う診療報酬改定実施日の
延期を求める緊急要請書
2020年3月7日
兵庫県保険医協会 理事長 西山裕康
日頃の厚生労働行政並びに国民医療発展へのご尽力に、敬意を表します。兵庫県保険医協会 理事長 西山裕康
兵庫県保険医協会は、国民医療の充実と向上をはかるとともに開業保険医の生活と権利を守ることを目的とした、医科・歯科開業医、勤務医あわせて7,500人で構成する団体です。
さて、今般の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、兵庫県を含めた各地方厚生局による改定時集団指導(新点数説明会)をはじめ、診療報酬改定説明会等の中止が次々と発表されております。今後増加が予想される新型コロナウイルス感染疑い患者のプライマリケアでの対応に加え、改定内容について説明を受ける機会が十分ないまま4月から新点数を運用することに、地域の医療機関は大きな不安を覚えています。
つきましては、今次診療報酬改定について下記のとおり要請いたします。
一、2020年4月1日施行予定の診療報酬改定を、少なくとも9月末日までの半年間、延期すること。
一、上記の改定延期とは別に、歯科の保険医療材料「金銀パラジウム合金」については、医療機関が支払う購入価格が保険価格を上回る「逆ザヤ」の現状を解消するため、必要な対応を即時講じること。
以 上
内閣総理大臣 安倍晋三 様
厚生労働大臣 加藤勝信 様
新型コロナウイルス感染症に関する要望
2020年3月7日
兵庫県保険医協会 理事長 西山裕康
兵庫県保険医協会は以下の対策を求める。兵庫県保険医協会 理事長 西山裕康
・診療可能な医療機関を拡充し、検査体制を強化すること
政府は「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」で、国民に対し「感染の不安から適切な相談をせずに医療機関を受診することや感染しやすい環境に行くことを避けていただくようお願いする」とした。
一方、安倍首相は記者会見で「来週中にPCR検査に医療保険を適用いたします。これにより、保健所を経由することなく民間の検査機関に直接、検査依頼を行うことが可能となります」「かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします」と述べた。
国民に医療機関受診を控えさせることは、新型コロナウイルス感染症以外のインフルエンザや肺炎等の早期治療を遅らせ、患者を危険に晒すことにもなりかねないため、診療可能な医療機関を拡充し、検査体制を強化すべきである。
・多くの医療機関が感染対策を講じて診療できるように、必要な財政援助を行うこと
医療機関が診療を行うためには、診療時間や動線を区分する等の感染対策が必要であり、ましてや検体採取には医療従事者が感染する危険性が高い。医療従事者の感染を防ぎ、一般患者の健康を守りながら、より多くの医療機関が感染対策を講じて診療できるように、必要な財政援助を行うべきである。
・医療提供体制を国民・患者に丁寧に説明し、保健所や帰国者・接触者相談センターの体制強化を行うこと
感染を疑う患者の受け入れは、現状では非公表となっている869の「帰国者・接触者外来」を持つ医療機関でしかできないため、感染を疑う患者は、保健所や帰国者・接触者相談センターに相談することが必須となっている。さらに、相談者が帰国者・接触者相談センターに問い合わせても、特定の医療機関を示すことなく、相談者自身で適切な医療機関を調べて、受診するように指示されているとの事例もある。
現場での混乱を避けるため、政府は現状の医療提供体制を国民・患者に丁寧に説明し、保健所や帰国者・接触者相談センターの体制強化を行うべきである。
・医療機関での診療体制、就業制限等の指針を示すとともに、休診中の財政支援を行うこと
既に感染者の来院を受けた一般の医療機関では、保健所と相談の上で14日間にわたる外来の閉鎖などの措置をとっているが、この措置は法令等に基づくものでなく、その対応も保健所によって一律でない。感染拡大防止と医療提供体制維持の観点から、感染者を診療した場合、医療従事者に感染者が発生した場合等の歯科を含む医療機関での診療体制、就業制限等の指針を示すとともに、休診中の財政支援を行うべきである。
・慢性疾患等の管理を行う医療機関には、各種「管理料」等の算定を認めること
感染を疑う患者は「適切な相談をせずに医療機関を受診することや感染しやすい環境に行くことを避けていただく」との政府方針やそれに関する報道等により、多くの慢性疾患等を有する定期受診患者等が医療機関の受診を控える事態が起きている。厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」等の事務連絡を発出し、医療機関が電話等を用いた診療で処方を行うことを認める等の対応をとっているが、各種「管理料」等は算定できない。
現在の不安や混乱の状況下では、慢性疾患を有する患者には、より一層丁寧な指導、管理が必要であり、その管理を行う医療機関には、各種「管理料」等の算定を認めるべきである。
以 上
厚生労働省
電話再診等の扱い通知
新型コロナ影響受け
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、厚労省は診療報酬上の臨時的な取り扱い等について関係機関へ通知している。以下はその抜粋だが、詳細は通知を参照されたい。【電話や情報通信機器を用いた診療】
慢性疾患の定期受診患者を電話や情報通信機器を用いて診察した医療機関は、これまで処方していた慢性疾患治療薬を処方の上、医療機関または患者が処方箋をファックス等で薬局に送付することで、電話等再診料、外来診療料(レセプトの摘要欄に電話等による旨及び当該診療日を記載)、処方箋料を算定できる。
その場合、医療機関は処方箋を保管し、後日薬局に当該処方箋を送付するか、患者が医療機関を受診した際に処方箋を手渡し薬局に持参させる。
医療機関がファックス等で処方箋を薬局に送付した場合は、診療録に送付先の薬局を記録する。
処方箋のファックス等による送付が患者からあったとの連絡が、薬局より入った場合も、診療録に当該薬局を記録する。この場合、同一の処方箋が複数の薬局に送付されていないことを確認する。
【施設基準】
今般の学校等の臨時休業によって職員が一時的に不足した医療機関や、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増した医療機関、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた医療機関等に職員を派遣したことで職員が一時的に不足する医療機関については、当面、次の事項について施設基準より1割以上の一時的な変動があった場合でも、変更の届出を行わなくてよい。
・月平均夜勤時間数
・1日当たり勤務する看護要員(看護師及び准看護師又は看護補助者)の数
・看護要員の数と入院患者の比率
・看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率
2020年度診療報酬改定研究会(医科・歯科)は
全会場中止いたします
冊子『医科 点数表改定のポイント』、『歯科 改定の要点と解説』は、3月下旬頃発送を予定しております。
この件についてのお問い合わせは、電話078-393-1840(医科)、電話078-393-1809(歯科)まで