2020年4月15日(1939号) ピックアップニュース
歯科金パラ「逆ザヤ」問題
医療者の声うけ制度変更も解決に程遠く
歯科治療に欠かせない保険医療材料である金銀パラジウム合金(以下「金パラ」)の価格高騰が続き、歯科医療機関での購入価格が保険償還価格を上回るいわゆる「逆ザヤ」問題。価格高騰に対する対応が3月25日の中医協で承認され、条件付きで最短3カ月ごとの改定が実施されることとなった。協会をはじめとする「逆ザヤ」解消を求める声の高まりに対応したものだが、抜本解決には程遠いと言わざるを得ない。
協会はこれまで医科歯科一体で、金パラ「逆ザヤ」解消を粘り強く厚労省に要請してきた。「逆ザヤ」が急激に拡大してから短期間の間に緊急要請署名にも取り組み、全国から寄せられた即時解消を求める署名約4200筆(うち兵庫協会から471筆)を安倍首相と加藤厚労大臣に提出した。今回の中医協の決定は、会員の切実な声が国を一定動かしたものである。
そもそも随時改定は、素材となる金属の価格変動から保険償還価格を決定しており、合金の市場価格の実勢調査に見合った改定が行われない、金属の値動きを参照する期間から改定実施まで6カ月という大きなタイムラグがあり反映が不正確な点など、問題が多い。
協会は今後も、金パラ価格決定の仕組みを根本的に変更し、「逆ザヤ」問題を解消させるよう求めて運動を進めていく。
また、引き続き「逆ザヤ」即時解消を求める署名にも取り組むので、ご協力をお願いしたい。
会員の声が国を動かす
今回の制度変更は、基準改定後の6カ月ごとの(10月と4月)従来の随時改定(随時改定Ⅰ)に加え、15%を越える価格変動があった時には、7月と1月に追加の改定として「随時改定Ⅱ」を実施するというもの(図)。この変更により、市場価格激変時には、最短で3カ月ごとに改定が行われることとなり、保険償還価格と購入価格の乖離が緩和されるが、5%、15%の価格変動幅は、是正へのハードルが依然高いままと言える。協会はこれまで医科歯科一体で、金パラ「逆ザヤ」解消を粘り強く厚労省に要請してきた。「逆ザヤ」が急激に拡大してから短期間の間に緊急要請署名にも取り組み、全国から寄せられた即時解消を求める署名約4200筆(うち兵庫協会から471筆)を安倍首相と加藤厚労大臣に提出した。今回の中医協の決定は、会員の切実な声が国を一定動かしたものである。
改善も「逆ザヤ」の可能性はそのまま
しかし一方で、この改定は価格変動が基準以内であれば実施されないもので、金パラ「逆ザヤ」の問題を根本から解消するものではない。また、7月の改定までの間、「逆ザヤ」を放置するものであり、「補綴治療そのものができない」「一日も早く解消してほしい」との現場の声に応えるものとはなっていない。そもそも随時改定は、素材となる金属の価格変動から保険償還価格を決定しており、合金の市場価格の実勢調査に見合った改定が行われない、金属の値動きを参照する期間から改定実施まで6カ月という大きなタイムラグがあり反映が不正確な点など、問題が多い。
「価格決定の仕組み」に踏み込んだ改善を
新型コロナウイルスの影響で一時的に急騰は止まったものの、「国民の健康に係わる保険医療材料が世情によって乱高下する」という金パラ「逆ザヤ」の本質的問題は放置されたままである。協会は今後も、金パラ価格決定の仕組みを根本的に変更し、「逆ザヤ」問題を解消させるよう求めて運動を進めていく。
また、引き続き「逆ザヤ」即時解消を求める署名にも取り組むので、ご協力をお願いしたい。
図 制度改正後の金パラ価格改定のサイクル