2020年7月25日(1948号) ピックアップニュース
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緊急署名 「医療機関の経営保障を」
協会・保団連は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う受診抑制等により、医療機関の収支が悪化し、経営が危機に瀕していることに対し、政府に緊急財政措置を求める会員署名を開始した。7月14日~16日の間に会員医療機関にFAXで送信しており、700に迫る返信が寄せられている。
新型コロナウイルス感染症が蔓延するなか、政府による自粛要請や感染不安による受診抑制により、医療機関では外来患者数が減少している。
協会が5月に実施した「第2回新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急アンケート」では、医科・歯科ともに約9割の医療機関で、前年4月に比べて患者数が減少し、保険診療収入が30%以上減収となっている医療機関は医科で約20%、歯科で約30%に上っている。一方で、個人防護具の価格高騰や感染防止対策に必要な設備投資により、経費が例年より「増えた」医療機関が医科で約30%、歯科で約40%となっている。
政府は、緊急事態宣言下において、すべての医療関係者の事業継続を要請し、各医療機関ではこれに応え、感染の危険と不安のなかで地域医療提供を担ってきた。
保険医療機関はその設置主体の公私に関わらず、公益医療の提供を一手に担う社会的共通資本である。そのため開設認可時より、非営利業務が求められ、剰余金の配当等が禁止されている。そして、医療提供の原資は、診療報酬である。
したがって、国は国民に生存権を保障し、必要な医療を国民に供給する使命を有するため、保険医療機関の経営を安定させるに十分な診療報酬を保障する責任がある。
今回の会員署名では、今後の感染拡大に備え、医療機関の立て直しは急務だとして、地域や規模を問わず全ての医療機関に対する、災害時と同様の前年度実績に基づく診療報酬の「概算払い」や支援金による減収分の補填など、国の責任による迅速かつ大規模な財政措置を緊急的に求めている。
寄せられた署名は、7月末に政府、関係省庁、県選出国会議員に届ける予定。ぜひご返信をお願いしたい。
※署名用紙は月刊保団連8月号にも同封予定。本件に関するお問い合わせは、電話078-393-1807まで
医療機関へ緊急の財政措置を求める医師・歯科医師署名7月14日~16日に医療機関へFAXでお届けしている
図 医科・歯科ともに9割近くの医療機関で収入減少
談話
このままでは地域医療が危機に
理事長 西山 裕康
このたびの新型コロナ禍において、私たち医療機関は、政府の事業継続要請を受け、緊急事態宣言下においても感染リスクに晒されながら地域医療に尽力してきました。
にも関わらず、マスコミの報道などで不安に陥った患者の受診抑制は深刻で、医業収益は急激に落ち込んでいます。協会のアンケート調査でも、9割の医療機関が、医業収益が「減った」と回答しています。医療機関の経営難や存続危機は、医療提供量の縮小をもたらし、国民医療の危機に直結します。
政府は第2次補正予算を成立させ、医療機関向けの経営支援を行うとしていますが、中身は融資や感染対策費の補助等が中心で、不十分です。
協会・保団連は、第2波へ備えるためにも、簡素、迅速で透明性の高い、前年度実績に基づく診療報酬「概算払い」等による減収分の補填などを求める医師・歯科医師署名に取り組みます。
先生方におかれましては趣旨をご賢察の上、ご協力賜りますようよろしくお願いします。