2020年8月25日(1950号) ピックアップニュース
燭心
8月と言えばお盆。同時に終戦(敗戦)記念日とも相まって先祖や戦没者に思いを馳せる時期でもある。ある意味、戦争を反省する日なのだが、現在の日本の為政者たちは本当に戦争を反省しているか疑問が残る。徴用工や従軍慰安婦への対応を見ても怪しい。彼らは被害者である。「韓国政府が救えないのなら、日本が代わりに救いましょう」位の心意気がほしいものである▼さて、これに対してドイツは今もなおナチス関係者に対して裁判を行っている。先月23日、ハンブルグの地方裁判所で現在93歳の強制収容所元看守に殺害を幇助したと認定し、執行猶予付禁錮2年の判決を言い渡した。当時17歳、しかも直接殺害に関わったわけでもない元看守に対して酷とも思われるが、それがドイツの戦争反省の意思なのかもしれない。被告も最終陳述で「裁判は過去に対処する機会を与えてくれた。証言や専門家の意見を聞いて初めて、残酷さと苦しみに気づけた」とも述べた。執行猶予付の判決に少し安堵した▼いずれにせよ、戦争は権力者が起こし、被害者となるのは庶民である。国家間の補償だけで終えるべきものではない。東京裁判によって戦犯に全てを負わせて清算した気になっている日本人も多いことは気がかりである▼国家間の対立が高まっている今こそ、敗戦国、戦勝国問わず不戦を追求すべきである。せめて加害者となり得る国の力を制限するための憲法、とりわけ憲法9条を守り通す姿勢を保ってほしいと願う8月である(酔)