2020年10月05日(1954号) ピックアップニュース
燭心
「『日本が世界一』ランキング事典」を読んでみた。定義や調査方法などはさておき、1位を拾っていくと、日本の姿が見えてくる▼1位とされているのが、「マナーが良い」「老舗の数」「駐留米軍の兵士数」「ビニール傘消費量」「時間に正確な空港」...。なるほど、納得である。一方で、「自動車生産台数」「携帯電話契約台数」「特許出願件数」「富裕層人口」などは中国に抜かれている。いかんせん人口は日本の10倍である。ワーストでは「有給休暇取得日数」「自国のために戦う意思」とある。ネット検索によると「出世の意欲」「難民受け入れ」「女性議員割合」「男性の家事分担率」「睡眠時間」なども先進国で最低ランクらしい▼医療・健康部門では「平均寿命」「高齢化率」「新生児死亡率の低さ」「MRI保有率」「入院日数」が第1位である。ところで「医師数」はどうだろう。OECDで見ると37カ国中、日本は下位3分の1である。しかし医師需給分科会では「現在の医学部定員数が維持された場合、2027年頃に人口比の医師数がOECDの加重平均(16位)に達する見込み」のため、養成数を抑制するらしい▼日本では、いわゆる過労死ラインを超えて働く病院勤務医が全体の約5割、7万人いる。少ない医師が多くのベッドを抱え、長時間労働を強いられている現状が読み取れる。医師による苦しい戦いはこれからも続く。「2位じゃダメなんですか」ならぬ「16位程度で、いいんですか」と問いたい。(空)