兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年10月25日(1956号) ピックアップニュース

燭心

 政治家が、医療に対して功を焦るために、変な発言が目立つ。例えば大阪府知事の、新型コロナに対するイソジンの予防効果である。人口約900万人の大阪府のトップがドヤ顔で、テーブルの上に商品を陳列して解説していた。薬の副作用、アレルギー、甲状腺疾患の知識がない素人が、コロナに対する治療効果も証明されていない薬を、鬼の首でも取ったように褒め称えたために、外来でイソジンが不足し、本当に必要な患者に投与できなくなり、現場は大いに混乱した▼菅首相らは、少子化対策のため、不妊治療を保険適用とすると喧伝しているが、それだけで少子化対策になるわけがない。若い夫婦の将来不安がなく、子どもを生んでも安心な社会保障にする方が、少子化対策になる。国や自治体のトップの人間が、医療の十分な知識がないのに国民の前でばかげたリップサービスをしている。結局は、何か良いことをやっているフリである。昔から言うではないか「綸言汗の如し」と...▼海外に眼を転じても、マスクをしない大統領が大衆の面前で演説。大統領候補討論会では過去の失敗や醜聞の追及ばかりで、高尚な政治理念や政策についての言及はほとんどなし。しまいに新型コロナにも感染し、家族や側近、国家の中枢にいるものに拡大させた。科学的事実をないがしろにしたものは、科学のしっぺ返しを受ける。自分の身の安全すら守れない人間が、国民の安全を守れるのか? 洋の東西を問わず、為政者の鼎の軽重が問われる。(鼻)

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