兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年12月05日(1960号) ピックアップニュース

11・12中央要請行動 ストップ!負担増署名1万4千筆超を提出
高齢者窓口負担増で受診抑制に拍車

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桜井議員(右)は署名紹介議員引き受けを快諾

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前原議員(中央)に署名を提出する川西副理事長(右)と森本主税保団連副会長(左)

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武田議員(中央)に川西副理事長(右)と住江憲勇保団連会長(左)が署名を提出

 「高齢者医療の見直しを進めます」-。菅首相が所信表明演説で述べたように、75歳以上の医療費窓口負担を現在の原則1割から2割へと引き上げる議論が政府内で本格化している。協会は11月12日、その撤回を中心に国会議員への要請行動を実施。すでに新型コロナ禍による受診抑制で、高齢者の健康への悪影響が指摘されている中、さらなる医療費窓口負担引き上げは高齢者の命と健康を脅かすものだと訴えた。

 協会から川西敏雄副理事長が参加。桜井周衆議院議員(立憲民主党)、前原誠司衆議院議員(国民民主党)、武田良介参議院議員(日本共産党)が面会に応じた。
 協会は要請で、政府は高齢者の預貯金が現役世代より多いことを高齢者の窓口負担引き上げの根拠としているが、日本の社会保障制度は脆弱で貯蓄に頼らなければ老後を過ごせないことや、そもそも所得格差に応じた再分配は保険料や税金で行うべきで社会保障の給付に差を持ち込むべきでないと訴えるとともに、これまでに集めた「医療・介護の負担増の中止を求める請願署名」1万4154筆の紹介議員となるよう求めた。
 桜井議員は、川西副理事長の訴えに対し「高齢者には現役世代よりひどい所得格差があり、多くの人は窓口負担が2倍になれば受診をためらう」と述べ、署名の紹介議員になることを快諾。医療機関の減収については、「ボーナスが支給できないという医療機関もあると聞いた。早急に手当てを行うことが必要だ。厚労省や財務省への働きかけを行っている」と応じた。
 前原議員は、「新型コロナ禍で日本の財政状況は悪化した。非正規労働者が多く雇い止めも起こっている若年層にこそ税金を使うべきだ。日本の国民負担率は低く、患者さんにも所得に応じて負担を求めなければならない」とした。これに対し川西副理事長は「高齢者の貯蓄は、社会保障が脆弱で将来不安があるからこそ貯めたものだ。応能負担と言うなら、若者を低コストで使い莫大な利益を上げている大企業の負担を諸外国並みに引き上げるべきだ」と指摘。前原議員は署名の紹介議員を引き受けた。前原議員は医療機関の減収補填については「政府の施策は一般の医療機関には手厚くない。患者数が例年の半分になった医療機関もあったと聞く。政府は手を打つべきだ」と協会の主張に賛同した。
 武田議員は協会の訴えに対し「医療機関の減収補填は、党として政府に実施を迫り、国会で質問している。そもそも日本の低医療費政策の根本的な転換が必要だ」とし、「安倍政権を引き継ぐ菅政権を代えることが一番の近道だ。真剣に政権交代をめざす」と強調した。
 同日、国会議員会館では歯科の厚生労働省交渉が行われ、新型コロナ禍に伴う受診抑制で疲弊する歯科医療機関に対して減収補填を行うことなどを要請した。
 厚労省は、医療機関の減収補填について「災害により診療録等を滅失し、診療行為の十分な把握が困難である場合に、概算請求が認められる。今回は診療録等の滅失はなく、診療行為は把握できている。そうした場合に、概算請求を認めた前例はない」と応じた。川西副理事長は「医療機関は前例がない新興感染症により、前例がない経営危機に苦しんでいる。今こそ前例にとらわれず対応すべきだ」と気迫を込めて訴えた。
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