兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年12月15日(1961号) ピックアップニュース

燭心

 小生は医者になって40年弱だが、卒後まもなく先輩から教わった、技術や知識以外の大事なことは少なくない▼一番の思い出は、大学で1年研修の後、市民病院での勤務である。学生時代は中古のイタ車でブイブイ言わしていたが、そこの外科部長が、手術中に器具を投げつけるような怖い先生だと脅され、泣く泣く国産セダンに乗り換えた。が、初出勤すると「なんや、ボンボンが外車で来ると楽しみにしてたのになー」と言われた(もちろん次の年にはイタ車に乗り換えた)▼その外科部長は、まず「朝は遅れて来るな。特に2-3分は許さん!」と。社会人としてだらしなさを改めろということである。次に「患者さんの前で腕を組むな!」。若造が人生の先輩に対して失礼なのである。最後に「手術翌日は『痛かったですか?』やなく『痛かったでしょう』や!」。患者に寄り添えということである▼その病院にはラグビー部OBの豪快な先輩もいて、ゴルフや麻雀、看護師さんと一緒の飲み会で、朝までよく歌って踊って騒いでいた。当時、卒後すぐに入局し、その後の勤務先は、同門の先輩たちがいる病院であった。診療科の決まっていない今の研修医と違い、新米の面倒見は良かった。いわゆる古き時代の体育会系である▼さて、先の外科部長は「『昨日飲み過ぎて、動けません。彼女のマンションです』やったら、お前の一日の仕事は、わしが全部やったるで」とも言っていた。幸い私は下戸のため、お世話にはならなかった(空)
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