兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年2月25日(1966号) ピックアップニュース

近畿反核医師懇談会 金融機関への調査結果発表
核兵器への投融資の禁止へ世論を大きく広げよう

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マスコミ報告会に出席した(左から)飯田先生、武村先生、松井先生

 近畿各県の反核医師の会などでつくる近畿反核医師懇談会は1月16日、大阪市内とオンラインで、金融機関の核兵器製造企業への投融資に関する調査のマスコミ発表を実施。共同通信としんぶん赤旗、連合通信で報道された。
 マスコミ発表では、京都協会の飯田哲夫副会長(近畿反核医師懇談会「Don't bank on the bomb」キャンペーンリーダー)があいさつし、「2年前に京都で開催した『反核医師のつどい』でこのテーマを取り上げ、運動の継続を確認し、近畿が中心となって進めている。この運動は患者さんも利用している金融機関を通じて参加しやすいので、大きく広げていきたい」と述べた。
 兵庫協会の武村義人副理事長(同キャンペーン副リーダー)が調査結果を報告。昨年夏に200金融機関(銀行等158行、生命保険会社42社)に公開質問状を送付し、三井住友・三菱UFJ・みずほの三大メガバンクを含む23機関(銀行等18行、生命保険会社5社)から回答があったと紹介した。
 非人道兵器に対する与信行為や投資を禁止する明文化されたポリシーについて、「定めている」としたのは三菱UFJ・三井住友・みずほ・りそな・紀陽・高知各銀行、第一生命の7機関。「特に明文化はしていないが、禁止している」が10行で、「特に禁止はしていない」が3行だった。ポリシーを定めている金融機関のうち、非人道兵器に核兵器を含むと明記しているのは三菱UFJ銀行のみであり、その他は明記していないが、核兵器は含まれると解釈しているとした。
 核兵器関連の製造に関わる企業への投融資について、「与信供与・投資共にしていない」との回答が15機関、「融資は核兵器に使われないことを確認したうえで、与信供与・投資は問題ないと考えている」が3機関、「特別なポリシーはない」が1機関となった。
 武村先生は、オランダのNGO「PAX」の調査では核兵器製造企業に投資をしているとされた、三菱UFJ、みずほ、三井住友が、非人道的兵器に対する与信行為や投資を禁止するポリシーを「定めている」と回答していることについて、それぞれのポリシーは核兵器の製造企業自体への投融資ではなく、製造への投融資に限って禁止しているものであると指摘。
 一方、「ESG・サステナビリティの観点から...、核兵器製造企業などESGの観点から懸念のある銘柄については抑制的な態勢を強化する予定」(第一生命)と回答があるなど、ESG投資への関心の高まりのなかで、金融機関の投融資への姿勢が変化しており、核兵器を含む非人道兵器への投融資を控える動きが広がりつつあるとした。
 和歌山協会の松井和夫先生(同キャンペーン副リーダー)は、「クラスター爆弾と同様に核兵器も非人道的であると指摘していく必要がある。1月22日の核兵器禁止条約発効の機会に、核廃絶についてメディアは大きく取り上げていただきたい」と訴えた。
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