2021年4月05日(1970号) ピックアップニュース
燭心
昨年、右肩の腱を痛めて入院手術を受けた。私はたまたま病院内紹介だったが、看護師も理学療法士も執刀医に誇りを持っており、「世界の○○ですから」「○○先生に診てもらいに来られたのですか」と声をかけられた。スタッフに慕われているのは、微笑ましくもあり、羨ましくもある▼医療者とは報酬だけでなく、誇りと生きがいで労働意欲が生じるものである。しかしコロナ禍では、感染者引き受けが強制され、本来の機能を休止し、スタッフの仕事を変えざるをえない公立病院も出てきた。過重労働が生じ、生きがいを失ったケースもある。あらぬ差別も受け、転職者も。そして、病床不足から医療崩壊に至った▼果たして緊急事態だから仕方ないのだろうか。日本は人口あたりの病床数が多いと言われるが、先進諸国に比べてスタッフ数や感染病床、ICUも少ない。ECMOを1台稼働させた場合に必要なスタッフ数は驚くほど多く、ECMOが必要な患者1人引き受けるのも大ごとである。自公維による低医療費政策のため、少ないスタッフで対応せざるを得ず、ぎりぎりで経営している民間病院がコロナ患者受け入れを渋るのも理解できる▼コロナ禍を経験して政府はこの問題点に気づくべきだが、病床削減と低医療費政策は続けられようとしている。収入が下がった医療機関には単発的な補助金や給付金、制度融資のみ。国民に必要な医療福祉を渋る自公維の政策に腹が立つ。将来不安ばかりでは、今夜の酒も楽しめない。(酔)