2021年5月15日(1973号) ピックアップニュース
4・22国会要請行動
技工所の危機は歯科医療の危機
歯科技工問題の抜本的解決は待ったなし--。協会と全国保険医団体連合会(保団連)は4月22日、国会要請行動を実施。兵庫協会からは川西敏雄副理事長、鈴田明彦・白岩一心両理事、幸田雄策評議員が参加し、国会議員へ「歯科技工問題の解決」「75歳以上の医療費窓口負担原則2割化ストップ」を要請した。桜井周衆院議員(立憲民主党)、清水忠史衆院議員(共産党)、福島瑞穂参院議員(社民党)が面会に応じた。
国会議員への要請では歯科技工問題について、「歯科技工士の低賃金・長時間労働問題の原因は、低診療報酬政策により、歯科技工物価格が不当に低く抑えられていることと、7対3大臣告示が守られていないことにある。これにより、若手歯科技工士の離職率は非常に高く、このままでは歯科技工士の存続も危ういものとなっている。保険でより良い歯科医療を実現するには、歯科技工士に正当な報酬を支払う仕組みを構築する必要があり、改善をお願いしたい」と要請。衆院で審議入りした75歳以上の高齢者の負担増については、高齢者のさらなる受診抑制を引き起こすものであり、中止をお願いしたいと要請した。
桜井議員は、要請に対して「新型コロナ禍の今、さらなる国民への負担増は許されない。国民生活のために消費税は5%へ恒久減税を実施させるよう尽力したい。歯科技工が抱える問題についても、理解できた」とした。
清水議員は「歯科技工士が苦しい状況に置かれている実態は理解している。年間売り上げ1000万円以下の歯科技工士に対しては、インボイス制度導入により、事務手続きが煩雑になることも想定される。早急に対応を検討したい」とした。
福島議員は、「歯科技工問題の原因は低診療報酬にある。歯科技工士への所得保障制度の導入など、改善に向けて厚生労働委員会で質問をしたい」と語った。
4・22国会内集会
技工問題の改善へ歯科医療費の総枠拡大を
国会議員要請行動の同日には「保険で良い歯科医療を」全国連絡会が「歯科技工問題を考える国会内集会」を衆議院第2議員会館で開催。各協会や、各地の歯科技工士会・歯科技工士連盟13団体などが参加した。Zoomでも兵庫協会の加藤擁一副理事長をはじめ、歯科技工所、歯科技工士養成機関、歯科診療所などから視聴。現地・オンライン合わせて全国180カ所から300人以上が参加した。与野党の国会議員16人が集会に駆けつけ、「歯科技工問題の解決」「低歯科診療報酬の改善」のため力を合わせることを確認した。
集会では、参加者が、著しく低い技工料が歯科技工士の低賃金や長時間労働、高い離職率につながっていること、歯科技工士養成機関の廃校も相次ぎ、義歯などの技工技術の継承危機は、国民が受ける歯科医療の危機であるなど告発した。兵庫から参加した歯科技工士の雨松真希人氏(「保険でより良い歯科医療を」全国連絡会会長)はあいさつで、長時間低賃金の労働実態について「低すぎる歯科診療報酬が低技工料の根本。実効性のある取引ルール実現を含め、一丸となって世論に訴えよう」とした。
兵庫協会から白岩理事が、兵庫連絡会として取り組んだ「2021年歯科技工所アンケート」結果(こちらを参照)をもとに発言。「兵庫も技工業界の疲弊は顕著で人権無視の状態が放置されている。憲法の理念に基づいた改善運動を広げよう」と呼びかけた。