2021年5月25日(1974号) ピックアップニュース
燭心
宝島社の新聞広告が話題を呼んでいる。5月11日付全国紙朝刊、見開き2ページにわたって「ワクチンもない。薬もない。タケヤリで戰えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」と過激な文字が躍る▼政権には「言い訳するな。無理を強いるだけで、なにひとつ変わらないではないか」と断じ、「私たちは騙されている。我慢大会はもう終わりにして、今こそ怒りの声をあげるべきだ」とアジテーションを飛ばす。小泉今日子がすぐさま賛同のツイートを発信すると、これに〝8割おじさん〟こと西浦教授も理解を示す▼小気味の良さに胸がすくのは彼らだけではない。「新型コロナウイルスに感染するのは自業自得だ」と考える日本人の割合は11.5%。中国の4.8%やアメリカの1%などと比べて突出して高いという。「まずは自助あり、つぎ共助、三、四がなくて五に公助」の教えが着実に実を結びつつあるのか▼宝島社は、1998年から企業として社会に伝えたいメッセージを新聞広告で世の中に伝えてきた。2019年の年頭広告「うそつきは戦争の始まり」も衝撃だった。油にまみれた海鳥の閉じることのできない眼は忘れられない。商品では思いが伝えきれないのだという。そして、これらの広告はみな見事なまでに秀逸な作品に仕上がっている▼今回の広告が掲載されたのは読売、日経、朝日の3紙。政権と財界の代弁紙と、最近とみに弱腰なリベラル紙に対して、メディアの矜持を示せという喝!も感じられる(九)