2021年7月05日(1978号) ピックアップニュース
2020年度 医科歯科学校健診後治療調査
新型コロナで「健康に影響」4割 各紙で結果報道
新型コロナによる児童・生徒への健康影響があったと答えた学校が半数にのぼり、特に「肥満児・生徒の増加」「視力低下児・生徒の増加」が顕著であることが明らかとなった。また、要受診となったにもかかわらず未受診の児童・生徒の割合が5割~6割にのぼり、前回2018年調査より高まるなど、コロナによる受診控えの影響がうかがえる。
結果について、6月9日にマスコミ向けの報告会を開催したところ、神戸新聞・毎日新聞・しんぶん赤旗の3紙で結果が報道された。
本調査は、2017年に兵庫協会が学校歯科検診について実施した結果、大きな反響を呼び、2018年に医科歯科に拡充して実施。2019年には全国保険医団体連合会でも実施された。今回は、新型コロナ感染拡大も受け、全国と兵庫県でそれぞれ実施された。
2020年度医科歯科学校健診後治療調査結果
コロナ影響で「肥満」「視力低下」増加
2020年度医科歯科学校健診後治療調査の結果について、概要を紹介する。新型コロナウイルス感染症拡大による影響事例があったか聞いたところ、44.5%と半数近くの学校が「あった」と回答(図1)。
特に、「肥満児・生徒の増加」(40.4%)「視力低下児・生徒の増加」(40.4%)との回答が多かった(図2)。
具体的事例として、「ゲーム依存生徒、新入生、仲間作りがうまくいかず不安を抱える(4,5月休校により)」「原因不明の不登校による長期欠席」「(生活リズムが)乱れた生徒の増加」「Zoomによる眼精疲労」「臨時休校による運動不足や過食で肥満が増えた」などが寄せられている。
未受診率コロナで高まる
健診で要受診となった児童・生徒数を聞いたところ、視力検査34.1%(2018年調査34.0%、以下同)、歯科28.3%(29.9%)、耳鼻科11.9%(12.2%)、内科4.5%(4.3%)が要受診となり、前回2018年調査とほぼ同様の傾向を示した。一方、要受診にも関わらず医療機関を受診しなかった率(未受診率)は、視力検査61.0%(60.9%)、歯科69.1%(67.5%)、耳鼻科67.5%(54.5%)、内科57.2%(54.9%)(図3)となり、増加傾向を示した。全国調査でも同様に増加傾向を示しており(詳細は全国保険医新聞6月25日号に掲載)、新型コロナ感染拡大のなか、受診控えが起こったと考えられる。
受診遅れによる健康悪化の例としては、「コンタクトレンズをインターネットで注文し購入しているため、眼科医の診察を受けていない。そのため、C・D判定で受診するよう指導しても、度数の調整ができないようである」「耳垢栓塞を放置していて聴力が低下している」「心臓の生活管理指導表を持っている児童の定期検診が先のばしにされている」などが寄せられた。
未受診の要因として関連が深いと思われる家庭状況について聞いたところ、「コロナによる受診控え」が44.5%、「保護者の児童・生徒の健康への理解不足」が40.6%、「共働き」が26.6%などとなった。項目が違っているものの、前回は「保護者の無関心」が61.6%、「保護者の理解不足」51.4%が半数を超え、「共働き家庭」46.3%、「ひとり親家庭」31.1%、「経済的困難」20.9%と続いていたが、新型コロナウイルス感染拡大による受診控えが、児童・生徒の健康に影響を与えていることがうかがえる。
「口腔崩壊」がいる学校3割
口腔内が崩壊状態(むし歯〈未処置歯〉が10本以上ある、歯の根しか残っていないような未処置歯が何本もあるなど、咀嚼が困難な状態)とみられる児童・生徒がいるかどうか聞いたところ、31.3%が「いた」と回答。前回調査では35.6%であり、依然として高い水準となっている。健康悪化の背景に貧困・経済的要因
協会は、本結果を受け、コロナによる受診控えにより短期的な疾病の悪化や中長期的な健康状態への悪影響が懸念されること、「口腔崩壊」が3割以上の学校で認められる現状は早急に改善すべきであり、コロナの影響以外にも未受診が起こる理由として「保護者の理解不足」や「無関心」などが多く、いずれも社会的・経済的な困難性であり、背景には貧困などの問題があるとして、改善を求め、行政への働きかけなどを強めていく。
〈眼科具体的事例〉
・1.0以上が54.1%から50.4%に3.7%下がり、市平均も51.4%から48.3%に3.1%下がっていました。市内に眼科医院が少ないため眼科健診は実施していません。
・客観的には見え辛いと思うが、本人が困っていないのか、受診につながらない。
〈耳鼻科具体的事例〉
・耳垢栓塞を放置していて聴力が低下している。
・耳鼻科受診が困難で耳垢栓塞が何年もそのままになっており、耳の疾病の有無がわからないままになっている。
〈内科その他具体的事例〉
・コロナ休校明けに肥満度がUPした児童がすごく増えた。特に40%以上の要受診の児童には通知を出したがなかなか受診してもらえない。コロナ禍で緊急性がないと判断されているように思われる。
・臨時休校による運動不足や過食で肥満が増えた。
・心臓の検査でかかりつけ医に行っている生徒が、コロナの影響で今年度は行けないと報告を受けた事例があった。
・尿糖がみられたのに、病院へ連れていかない(母も精神的にしんどく、動けない)。
〈歯科具体的事例〉
・乳歯未処置歯9本が1名います。
・2年程前はいたが、その時の乳歯が生えかわってなくなっただけで、今後も口腔崩壊になるリスクのある児童はいる。他の児童より、多目に声かけ、通知を出して受診を促すようにはしている。
・う歯が10本以上あり、溶けかけている歯もあるが、受診が困難・胃ろう注入のため歯みがき等のケアを一切しておらず、歯石だらけ。
・1.0以上が54.1%から50.4%に3.7%下がり、市平均も51.4%から48.3%に3.1%下がっていました。市内に眼科医院が少ないため眼科健診は実施していません。
・客観的には見え辛いと思うが、本人が困っていないのか、受診につながらない。
〈耳鼻科具体的事例〉
・耳垢栓塞を放置していて聴力が低下している。
・耳鼻科受診が困難で耳垢栓塞が何年もそのままになっており、耳の疾病の有無がわからないままになっている。
〈内科その他具体的事例〉
・コロナ休校明けに肥満度がUPした児童がすごく増えた。特に40%以上の要受診の児童には通知を出したがなかなか受診してもらえない。コロナ禍で緊急性がないと判断されているように思われる。
・臨時休校による運動不足や過食で肥満が増えた。
・心臓の検査でかかりつけ医に行っている生徒が、コロナの影響で今年度は行けないと報告を受けた事例があった。
・尿糖がみられたのに、病院へ連れていかない(母も精神的にしんどく、動けない)。
〈歯科具体的事例〉
・乳歯未処置歯9本が1名います。
・2年程前はいたが、その時の乳歯が生えかわってなくなっただけで、今後も口腔崩壊になるリスクのある児童はいる。他の児童より、多目に声かけ、通知を出して受診を促すようにはしている。
・う歯が10本以上あり、溶けかけている歯もあるが、受診が困難・胃ろう注入のため歯みがき等のケアを一切しておらず、歯石だらけ。