2021年7月15日(1979号) ピックアップニュース
歯科医療の改善へ病院歯科懇談会と社保学習会
点数引き上げの重要性再確認
6月23日に開催した第7回病院歯科懇談会「病院歯科での保険請求について『要改善』『不合理』事例の交流」には、県内の10の病院歯科から16人(来場4人、Zoom12人)が参加。足立了平副理事長がコーディネーターとして、事前に取り組んだ病院歯科向けアンケート結果から、病院歯科としての診療報酬改善要望について後出血処置や同一術野の問題点などを紹介した。川村雅之副理事長が、2020年歯科診療報酬改定のポイントと歯周病治療の流れについて解説した。
神戸市立医療センター西市民病院歯科口腔外科の西田哲也先生からは、コロナ禍で患者自身が受診を控えたことや、病院歯科として処置を延期したケース、2週間の体調確認後の受診予約にシステムを変更したことでの患者減や収入減、PPEの大幅な値上げなどで、診療報酬の上乗せが必要だと強調した。
甲南医療センター歯科口腔外科の古土井春吾先生は、外来小手術や埋伏智歯抜歯などの治療にかかる患者一人当たりの感染対策費用をそれぞれ計算し、感染対策費用や技術料が低く、赤字状態であると指摘。安心安全な歯科治療のためには「歯科医療時医療管理料(医管・1日につき45点)」の算定要件を緩和すべきだとした。
議論では、「施設基準など条件をつけずに歯科医師が必要と認めた場合はモニタリングの費用が算定できるよう改善することが必要」、「歯科にはトリアージの点数がないことは問題」「一部の新聞やネットでの報道により歯科での大幅な受診抑制が起こった。歯科受診時の感染リスクは低いという事実を伝える必要がある」など意見交換。全体を通じて、コロナ禍で歯科に求められる万全な感染対策に見合ったコストを見直して診療報酬を設定する必要性があることが浮き彫りとなった。
6月13日には、開業歯科医師向けに第2回歯科社保学習会を開催し、45人が参加。「基本診療料」「医学管理」について、川村雅之副理事長、多田和彦評議員が解説し、96%に達した「歯初診」の施設基準は廃止し基本診療料は大幅引き上げすべきこと等を強調した。質疑応答では、「歯管の文書提供は加算点数だが、時間が取られるのに10点だけだ。出さなくても良いか」の質問に、「管理内容の要点のカルテ記載が必要だが、とくに初回は記載すべき内容が多く文書提供した方が良いのでは」との回答がされた。参加者からは「分かりやすいスライドでの解説と資料は、役に立ち見返しています。質問にも丁寧に答えていただき助かりました」など感想が寄せられた。