兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2021年7月25日(1980号) ピックアップニュース

主張 Don't bank on the bomb
核兵器にお金を貸すな、核兵器に頼るな

1980_02.jpg

8月月刊保団連にリーフレットを同封

 広島・長崎に核爆弾が投下されてまもなく76年目を迎える。被爆者を中心とした世界中の人々の願いが実を結び、今年1月には核兵器は違法とする核兵器禁止条約が発効した。協会は、命を守る医師・歯科医師の立場から、日本政府に対し、同条約に参加するよう強く求めるなど、核兵器廃絶実現のため運動している。
 現在力を入れている取り組みの一つが、「Don't Bank on the Bomb」キャンペーンだ。これはノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の運営団体の一つ、オランダのNGO「PAX」が中心になって世界で行っている、金融機関に対し核兵器製造企業に投融資を行わせないよう働きかける取り組みだ。対人地雷やクラスター爆弾などでも同様の活動が行われ、金融機関に投資をやめさせることで、これらの非人道兵器の禁止につながった実績がある。
 すでに、2017年以降、94の民間金融機関が6兆1000億円の融資を核兵器製造企業から引き上げ、オランダやスウェーデン、ノルウェーの公的年金基金も核兵器製造企業への投融資をやめている。
 スウェーデンでは、ある銀行のフェイスブックに3人の預金者が質問したところ、1年足らずで銀行側が核兵器製造関連には資金を出さない方針を明記した。個人が普段利用している銀行窓口などで、核兵器製造関連企業に投融資しているかどうかを尋ねることで、金融機関の意識・投資方針を変え、ひいては核廃絶へとつなげることが可能である。
 日本の金融機関は2018年1月~2020年1月の間に、1兆9000億円を核兵器生産企業に投融資している。また、ICANによれば、2019年に核兵器の開発や維持、更新にフランスは5700億円を、イギリスは1兆1000億円を、アメリカは3兆8000億円を費やした。この額があれば、50万床の集中治療室と7万5000台の人工呼吸器を新たに整備し、22万人の看護師と12万5000人の医師を雇うことができるという。核廃絶は核戦争の脅威から世界中の人々の命と健康を守るだけでなく、新興感染症からも人々を守ることになる。
 兵庫協会などでつくる近畿反核医師懇談会は、このキャンペーンについて分かりやすく解説したリーフレットを作成した(下)。8月月刊保団連に同封してお届けする予定なので、ぜひご活用をお願いしたい。また、ホームページやYouTubeでもさまざまな紹介を行っている。先日、協会がインタビューしたIPPNW共同会長のティルマン・ラフ医師は、「若者を含め多くの人に向けた運動を継続的に行うことにより今年1月に発効した核兵器禁止条約の実効性が増す」としている(インタビューは次号掲載)。
 核兵器廃絶の実現へ、すべての会員へキャンペーンへのご協力を呼びかけたい。

バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方