兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年8月25日(1982号) ピックアップニュース

新型コロナ在宅患者への診療報酬拡充
往診や訪問診療、電話診療に加算 協会の要求実現

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厚労省(右側)と交渉する清水議員(奥)と武村義人副理事長(左奥)

 新型コロナ在宅患者への診療報酬拡充へ−−。厚生労働省は、自宅・宿泊療養を行っている新型コロナウイルス感染症患者に対して算定できる加算について、通知を発出した。協会のこれまでの要請が、今回の一部改善につながった。

 厚生労働省は事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その51)」(7月30日付)と「同(その54)」(8月16日付)を発出。自宅・宿泊療養を行っている新型コロナウイルス感染症患者に対して、往診や訪問診療を行った際に、往診料または在宅患者訪問診療料とともに救急医療管理加算1(950点)を、電話や情報通信機器を用いて診療を行った場合に、初診料の注2に規定する214点または電話等再診料とともに二類感染症患者入院診療加算(250点)を算定できるとした(それぞれ患者1人につき1日に1回)。
 これは、今年4月から5月にかけて新型コロナウイルスの感染が拡大したいわゆる「第4波」による病床逼迫で、自宅療養を余儀なくされた患者に対し、往診等を行った際に算定できる診療報酬が極めて低く、協会が改善を求めていたもの。
 協会は、これまで数回にわたり厚生労働省交渉を実施。6月3日には清水忠史衆院議員を通じて、武村義人副理事長が厚生労働省の担当官に直接、要請を行った(6月25日号既報)。その後も、清水議員は粘り強く政府へ働きかけ、今回の一部改善へとつながった。清水議員が協会に寄せた談話を紹介する。

現場で奮闘する医療関係者とともに引き続き制度改善を求めたい
衆議院議員  清水 忠史

1982_04.jpg 新型コロナウイルス感染症が猛威を奮う中、日々、患者さんや国民のために奮闘している先生方に敬意を表します。
 兵庫県保険医協会の先生方からいただいた現場の声が、政府・厚生労働省を動かし、今回の制度改善につながりました。政府は多くの医療関係者が反対していた東京五輪開催を強行しました。しかし、一方では、急拡大している新型コロナウイルス感染症対策として中等症以上の患者さん以外の入院を原則行わないという方針を示しました。
 病床の不足は、新型コロナ禍から1年半もの間、医療提供体制を充実させてこなかった政府の責任です。「原則は入院」としている患者さんを地域の開業医の先生に「丸投げ」することは、あってはなりません。私たちは引き続き、政府に入院病床の確保を訴えつづけます。一方で、その使命感から、自宅・宿泊療養中の患者さんに対して診療を行っている医師やスタッフのみなさんが、憂いなくその役割を果たせるように、引き続き制度改善を政府・厚生労働省に求めていきます。ぜひ、これまで同様、現場の声を私たちにお寄せください。

ワクチン接種による賃金増受付事務も「130万円の壁」柔軟対応

 協会は、8月11日にも清水議員を通じて、厚生労働省要請を実施。ワクチン接種によって、勤務時間が増えた医療機関の受付事務等のスタッフの年収が130万円を超えた場合、健康保険の「扶養」から外されてしまう問題で、医療職に適用されている特例措置を受付事務等のスタッフにも拡大し、一時的に収入が130万円を超えても、これまで同様、「扶養」として認め続けるよう求めた。
 これに対し、厚生労働省担当官は「スタッフについては、その他の労働者同様、保険者に対して柔軟な対応を求める事務連絡を複数回にわたり発出している」と回答。具体的に保険者に対し「今後1年間の収入を見込む際には、...一時的に収入が増加し...130万円以上となる場合であっても、直ちに被扶養者認定を取消すのではなく...総合的に将来収入の見込みを判断すること」と徹底していると事務連絡の内容を紹介した。
 協会は、そうした情報が医療機関に伝わっていないことや、ワクチン接種で受付スタッフ等が果たしている役割の大きさを指摘。医療機関やそこで働くスタッフが萎縮しないよう、柔軟な取扱いを行っていることを医療機関にも周知すべきだと求めた。担当官は「早速、ご指摘のあった点について厚生労働省のウェブサイト上の表現を改善したい」と回答。スタッフについてもいわゆる「130万円の壁」の柔軟な運用を厚労省として保険者に要請していることを広く周知するとした。

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