2021年9月05日（1983号） ピックアップニュース
燭心
コロナ禍での五輪・パラリンピックが終わった。国家は別でも同じhomo sapiensである。約20万年前、東アフリカの密林から進出し、走ったり、石を投げたりして獲物を追いかけ、約10万年前にはアフリカを出て世界中に拡散した。人類発祥の地ケニアのマラソン選手の金メダルはうなずける。ただピテカントロプス等が生存していたら、重量挙げや格闘技等の金メダルは総なめだろう▼それにしても他の脊椎動物に比して、人類はなんと多様な運動機能を有する動物だろうか。走る・跳躍・拳上・泳ぐ・蹴る・打つ・殴る・掴む・投げる...。アスリートは全身の機能をフル回転し、種目によっては平衡機能として、前庭脊髄反射、前庭眼反射等で鍛え上げた筋肉を総動員して闘うが、人体の多様な筋肉の中では、競技に直接関係のない筋肉もある。咬筋と吹く筋肉（横隔膜等）である▼オリンピックの前に首相はコロナ対策で「まず隗より始めよ」とすべきところ、2人の大臣に丸投げした。日本がメダルを多くとってもコロナは蔓延し、政治家は臍をかんで後悔しているだろう。世界には吹き矢で動物を射止める原住民もいるが、日本にもほら吹き男爵がおり、福島の汚染水はunder controlと言い、復興五輪だと事実を偽った。河野大臣はワクチンを十分確保したと喧伝したが、実際は供給不足である▼綸言汗の如し。政治家の多くは、ほら吹き競技では禁メダル間違いなし。コロナ禍で五里霧中の今、内閣支持率低下もむべなるかな。（鼻）
