2021年9月15日(1984号) ピックアップニュース
燭心
この原稿が載る頃には、新型コロナの第5波はピークアウトしただろうか。ワクチン接種が進み、感染者、とりわけ入院患者、重症患者が減り、すべての感染者が適切な場所で必要な医療が受けられる「当然の」医療提供体制になっていることを願う。マスメディアでの「過去最高」の文言はもう見たくない▼「令和おじさん」がピークだった首相は、地方選挙に負け続け、解散権と人事権を失い打つ手なしとなった。やはり首相の「顔じゃない」中継ぎに過ぎず、その座に固執する気もなかったに違いない▼この後は「ポスト菅劇場」にマスコミが振り回され、衆院選は、実績のない新総裁への期待感によるご祝儀相場となる。首相の自民党への最大の貢献が不出馬という「立派な判断」とは皮肉なものである。野党の不人気があってこその「技あり」とはいえ、さすがに「選挙に勝つ」の一点で団結するシナリオライターと役者たちがそろっている▼選挙の顔選びの混迷は、所詮自民党内での疑似政権交代であり、国民の要求はそんなところにはない。現状打破には政権交代が王道であるが、安堵する自民党に比べ、動揺あるいは落胆する野党は、コロナへの無策を露呈した「不人気首相攻め」戦略を練り直さなければならない。新総裁相手の「人気投票」で勝ち目がないのなら、ここはひとつ、「消費税減税、医療・介護・子育て利用者の負担金無料、財源は国債で(MMT理論)」という「政策」で団結して勝負に出てはいかがだろうか。(空)