2021年10月05日(1986号) ピックアップニュース
燭心
人は兎角、保守や革新、左翼や右翼とレッテルを貼りたがる。はては「ネトウヨ」やら「ニセ左翼」という言葉もあるが、この分類は我々が政党を評価する上で適切だろうか▼以前、兵庫協会では、民主党時代の総理であった鳩山由紀夫氏を招いて講演会を開催したことがあった。TPPへの参加は、日本がアジアにおける経済的加害者になり得る話など、共感できるところも多々あった▼私が鳩山氏にレッテルを貼ると、政権を取った時点で掲げた「東アジア共同体」構想からは、汎アジア主義に基づく、右寄りの保守系の考え方であると言える。するとこれを提唱した鳩山氏を招へいした協会は右翼なのかと言えば、そのように考える人は皆無であろう。現在の政治を左右中道で捉えること自体ナンセンスであるばかりか、レッテル貼りは本来の姿を覆い隠し、争点を混乱させる画策かとも思えてくる▼争点を明確に分けるのであれば、国民一人ひとりの幸福や利益を求める政党と、巨大資本やアメリカの利益に追従する政党に分類した方が理解しやすいし、実情に近い。充実した社会保障を目指す福祉国家は、夜警国家に比べて費用もかかり、ともすれば税金の無駄遣いとの批判も受けかねないが、国民の安心には代えがたいものであろう▼新自由主義の下で歳費の削減を訴える政党の主張には、眉に唾して聞く必要がある。次の総選挙では従来の医療費削減政策からの転換を掲げる政党と候補者を応援し、ぜひ勝利の美酒に酔いたいものである(酔)