兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年10月25日(1988号) ピックアップニュース

特集 総選挙 盛山正仁衆議院議員インタビュー
責任ある与党として医療現場の声を政策立案につなげたい

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自由民主党 前職 盛山佐藤 泰樹氏正仁氏

 協会は総選挙特集として、各党の医療政策を広く会員に知らせる取り組みを実施している。これまでに、政策研究会「医療政策を聞く」を開催し、清水忠史衆議院議員(共産)、福島瑞穂参議院議員(社民)、辻恵元衆議院議員(れいわ)、桜井周衆議院議員(立民)が講演した。この取り組みの一環で、盛山正仁衆議院議員(自民)に西山裕康理事長が岸田政権の医療政策等について聞いた。また、佐藤泰樹候補(国民)から医療政策について文書回答があったのであわせて掲載する。

 西山 盛山先生には、日頃から国会行動など、私たち協会の陳情等を受けていただき、感謝しています。いよいよ総選挙ですね。総選挙に先立ち行われた自民党総裁選では、先生が所属する政策グループ「宏池会」の岸田文雄会長が総裁に選出され、国会で内閣総理大臣に指名されました。先生もいろいろとご苦労されたことだと思います。
 盛山 ええ。昨年急遽行われた総裁選では残念な結果になりました。しかし、今年には国会議員票と同数の党員・党友による地方票の得票を争ういわゆるフルスペックの総裁選挙が行われることが決まっていましたので、それに向けて政策を練り上げてきました。宏池会は、池田勇人元首相が旗揚げしたのが始まりです。当時から経済を重視しながら、防衛費を必要十分な水準に抑制するという政策を掲げており、現在でも通じるものがあります。当時、池田内閣が掲げた「所得倍増計画」は10年間で実質国民総生産を倍にするというもので、この計画は6年で達成されました。当時の所得倍増計画は、福祉国家の実現や国民の所得格差の是正を目指し、国民の生活水準を西欧先進国並みに到達させるというものでした。これが、岸田総理が掲げる「令和版の所得倍増計画」の源流です。
 西山 はい。岸田総理は内閣発足時の記者会見で「成長と分配の好循環を実現し、国民が豊かに生活できる経済を作り上げていきます」とおっしゃっています。くわしく教えていただけますか。
 盛山 はい。民主党から自民党が政権を奪還した時の日本経済は、惨憺たる状況でした。日経平均株価は8660円、為替レートは1ドル=79.30円という超円高の状況でした。大企業でさえも破たんするのではないかという状況で、安倍政権は経済を立て直すため、企業の競争環境を整備することに注力しました。それがアベノミクスです。これにより日本経済は立ち直りましたが、一方で国民の所得格差が広がったという面もありました。企業の業績は内部留保を積み上げることができるほど回復しましたが、それが労働者に還元されていないのではないかということです。アメリカほどではないかもしれませんが、こうした状況は、社会不安にもつながりかねませんし、何よりも「助け合い」精神を大切にする日本人のメンタリティーにも合わないと思います。そこで、私たちは、所得の再分配を強化して、成長を促すという好循環をつくりだすことを掲げています。これが「新しい資本主義」です。具体的な方法については税制の改正や社会保障の充実、企業の賃上げを促す政策など今後検討を進めていきます。
 西山 経済政策については、私たちが望む方向と一致していますね。ぜひ進めていただきたいと思います。さて、岸田総理は「医師、看護師、介護士、さらには幼稚園教諭、保育士、こうした方々など社会の基盤を支える現場で働く方々の所得向上に向け、公的価格のあり方の抜本的見直しを行います」と述べています。来年は診療報酬の改定もありますし、コロナ禍で疲弊している医療・介護の現場としては期待が高まるところです。
 盛山 そうですね。このコロナ禍では、先生方をはじめ医療関係者には非常に献身的なご努力をいただきました。その他のエッセンシャルワーカーも同様です。こうした方々の処遇を改善するということです。対象には、医師や看護師、介護士だけでなく、歯科医師や、医療機関周辺で働く、クリーニングや清掃を担当されている方なども当然入ってきます。また、診療報酬や介護報酬など公定価格だけでなく、労働条件の改善も必要です。医師の働き方改革は緒に就いたばかりですが、厚労省を中心により具体化していかなければなりません。医療現場では医師や看護師の人手不足が顕著ですが、その原因を探って、改善しなければなりません。
 西山 そうですね。私たちも現場から意見を上げていきたいと思います。
 盛山 ぜひ、お願いします。保険医協会の先生方をはじめ多くの方から、現場のことをお伝えいただいて、政策立案にいかしていきたいと思っています。私たちは、責任ある与党です。野党のように耳あたりの良いことをいうだけではいけません。先生方からいただいた要望を全て叶えることはできませんが、一部でも前進させられるのは私たち与党の力です。引き続き、私たち与党に要望をお寄せください。
 西山 大変、心強いお言葉ありがとうございます。本日はありがとうございました。

国民民主党の医療政策(文書回答)
日本版CDC創設
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国民民主党 新人 佐藤 泰樹氏

 今の日本は医療現場や患者さんにもっと寄り添った政策が必要だと考えております。
 私は以下3点を重点政策といたします。

1、感染症対策強化
 新型コロナウイルス対応にあたる医療機関の受け皿を拡大し、症状等に応じた役割分担と連携を強化して、医療崩壊の閾値そのものを上げます。平時の病床数に加え、感染症緊急時に対応できるよう病床にゆとりが持てるように診療報酬、介護報酬を改めます。入国時検査と14日間隔離、入国後の移動制限を義務化します。保健師の人材確保など保健所の機能強化に努めます。国産のワクチン、治療薬の開発、承認を加速します。感染症対策司令塔機能強化のため「日本版CDC」を創設します。
2、総合合算制度の創設
 医療・介護・障害福祉等にかかる自己負担の合計額に上限を設ける「総合合算制度」を創設します。
3、予防医療 ・リハビリテーション・医療提供体制の充実
 健康寿命を延ばすため、予防医療やリハビリテーションを充実させます。また、医療従事者の長時間労働の是正、女性医療従事者の就業継続・再就業支援などにより、医師・看護師を確保します。さらに、医療現場における職種間の連携を強化することにより、質の高い医療を受けられるようにします。
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