2021年11月25日(1991号) ピックアップニュース
燭心
前京大総長で日本学術会議会長も務められた山極壽一先生によると、遺伝子レベルでゴリラは猿よりも人間に近いとされる。動物は生きるために餌を求めて行動するが、アフリカでゴリラと生活を共にした山極先生によれば、ゴリラは餌のフルーツを仲間に分配するらしい。また、ゴリラの子がけんかをしても、弱い方をかばうなど、顔に似合わず温和な面がある▼森からサバンナに進出した人類は餌を共有するが、他人が獲って運んできた餌を信用して食べることは、極めて重要な行動であり、ここから文明が芽生え、発展してきた。猿(monkey)と異なり、尻尾のない類人猿(ape)は仲間と体を寄せ合って餌を公平に分配するが、餌を遠くに運搬するのは人類だけで、一般的な動物は、食物を分配するのは求愛行動や子への餌やりに限られる▼さて、分配といえば岸田内閣。成長と分配の好循環で、かつての日本のように分厚い中産階級をつくるというが、具体性は何なのか。これまでの自公政権がやってきたのは、年金で株を購入しての見せかけの株高、正社員の非正規化、国立法人の独法化、公的病院の補助金や保健所の削減...。この20年以上、日本経済はG7の中で唯一停滞し、新自由主義の失敗は明白なのに、その権化たる竹中平蔵がデジタル田園都市国家構想会議の真ん中に座しているではないか! これではアベ・スガの三番煎じで、まったく期待できない。分配という画餅に騙されるな! パソナが喜ぶだけのまやかしである。(鼻)