兵庫県保険医協会

　今年6月に実施した、県内各地の大気中二酸化窒素（NO₂）濃度測定調査（空気の汚れ調査）結果が明らかになりました。この調査は、県内の公害・環境団体等が91年から毎年6月に実施しているものです。
　新型コロナ禍にも関わらず、会員医療機関からは例年並みの225個のサンプル協力を得ることができました。調査にご協力いただき感謝いたします。
　協会の調査結果分で、WHOの環境基準（国の旧環境基準）以上である二酸化窒素濃度（NO₂）20ppb以上が測定された観測地点は46カ所でした。昨年10月に行われた前回調査では219カ所中23カ所でしたので、大幅な悪化が見られます。これは、前回の調査日が雨であったのに対し、今回が快晴であったことが影響していると考えられます。2019年の結果と比較すると数値には改善が見られ、コロナ禍による経済活動の低迷が影響した可能性があります。
　一方で、依然として国の旧環境基準を超えた観測地点の多くは明石市や阪神間で、特に主要幹線道路付近で高い数値が出ていました（図）。通学路の歩道橋で極めて高い値が検出されている箇所もあり、さらなる対策が求められます。
　灘区では、神戸製鋼所が増設した石炭火力発電所が来年1月にも営業運転を開始する予定です。石炭火力発電は地球温暖化の主要な原因物質であるCO₂排出量が多いだけでなく、NO₂をはじめとした大気汚染物質も大量に排出します。新たな汚染源の増設を阻止しなければならないのと同時に、稼働の前後での変化を記録するためにも、空気中のNO₂濃度の測定・監視を継続していく必要があります。
　次回の「空気の汚れ全県調査」は、2022年6月初旬を予定しております。来年もぜひ調査にご参加いただきますようお願い申し上げます。

【空気の汚れ調査概要】

実施日程　2021年6月10日（木）17時〜11日（金）17時（24時間）
協力医療機関数　89
回収　270サンプル中225サンプル
20ppb以上が観測された測定箇所...225カ所中46カ所
※ppb...10億分の1を表す濃度の単位。数値が高いほどNO₂の濃度が高く汚染がひどいことを示しています。WHOの環境基準は20ppbであり、国の旧環境基準も20ppbだったのが、60ppbに環境基準が変わっています。
　実行委員会では、結果をまとめた報告書（1000円）、CD−ROM（500円）を作成予定です。ご注文・お問い合わせは、電話078-393−1807事務局・小西まで

図　NO₂濃度上位ランキング