2022年1月25日(1995号) ピックアップニュース
燭心
今月22日で「核兵器禁条約」が発効して1年が経過した。昨年12月末現在の署名国は86カ国、批准したのは58カ国となった。この条約の成立に貢献したとして、ICANがノーベル平和賞を受賞しことは記憶に新しい▼かつてトランプ政権は小国に対して〝この条約を批准することは間違った選択だ〟と脅しをかけた。しかし条約を歓迎する世論は急速に拡大し、おひざ元の米国全市町会議がこの条約を歓迎し、政府に対して全会一致で即時に核廃絶の行動をとることを決議した▼一方で、NPT再検討会議がコロナ禍で再延期となり、条約締約国会議も同様に再び延期されかねない情勢である。日本のオブザーバー参加を求める声は大きいが、政府は全く聞く耳を持たない。かたやNATOの一員として米国の核の傘にあるドイツは、国民世論に加えて、政権交代のためか、オブザーバー参加を決定している▼さて意外なことに1月3日、国連安全保障理事会の常任理事国であり、核兵器を保有する米露英仏中の5カ国が「核戦争に勝者なし」との共同声明を発した。しかしながら内容は推して知るべしであり、そもそも対立が激化する米露中が『共同声明』を出したところで、核軍縮が大きく進むわけもない。結局のところ、五大国が核兵器を持ち続けられるNPT体制を維持したいだけだと推測される▼しかしこの珍事は、核兵器廃絶に向けたさまざまな運動や世論が広がりを見せていることが根底にあることは間違いない。頑張ろうではないか(無)