兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年1月25日(1995号) ピックアップニュース

阪神・淡路大震災27年メモリアル集会
復興は生活再建を第一とせよ

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松岡先生がフロア発言し復興計画のあり方を深めあった

 被災者本位の災害復興を実現させよう−−。1月16日、「阪神・淡路大震災27年メモリアル集会」(主催:阪神・淡路大震災 救援・復興兵庫県民会議)が「すべての災害被災者に暮らし再建できる公的支援を」をテーマに神戸市内で開催され、120人が参加した。塩崎賢明神戸大学名誉教授が記念講演し、協会からは武村義人・川西敏雄両副理事長、松岡泰夫評議員が参加した。

 塩崎氏は阪神・淡路大震災後の復興まちづくりに取り組んだ経験などをもとに「大震災と復興災害−住宅・生活再建と復興予算」と題して講演。阪神・淡路大震災直後に被害の実態調査のため、建物倒壊や住宅の被害を現地で調査し、その中で現地での生活再建をめざす被災者が自力で仮設住宅を建設している状況を把握。災害救助法に基づく、行政による資金援助は実施可能だったと指摘した。
 また塩崎氏は、兵庫県が「創造的復興」をスローガンとして打ち出したが、大型開発を推進し、被災者目線での復興を行わなかったと指摘。その結果、コミュニティが破壊され、被災者の借り上げ公営住宅からの追い出しなどの問題が生じたとした。この傾向は東日本大震災でも顕著だとし、生活再建を第一とした、避難所の抜本的改善や速やかな災害公営住宅の提供等が求められるとした。
 東日本大震災被災地からは、東日本大震災復旧・復興みやぎ県民センターの小川静治氏が「『創造的復興』は惨事に便乗した過剰復興」と題して報告。村井嘉浩宮城県知事は創造的復興として、仙台空港や水道事業の民営化等を掲げたが、被災者の生活再建につながるものでないと指摘。復興を口実とした過疎地域への過剰な投資は税金の無駄遣いであり、現状に見合った計画とすべきだとした。
 ひょうご震災復興借り上げ住宅協議会運営委員の段野太一氏は「『借り上げ住宅』問題の総括的検証」として報告。自治体は入居者に対して退去を要求し、従わなければ提訴する姿勢を示したが、協議会の運動により、兵庫県や西宮市などの多くの自治体で、話し合いで解決に導いたと成果を紹介。残る住民は神戸市の1人で健康不安を抱えており、協議会は継続入居を求めて市と話し合いを進めるとした。
 復興県民会議代表委員の畦布和隆氏が、主催者挨拶の中で、新型コロナ禍中で発生した災害について報告し、被災者生活再建支援法の拡充へ引き続き運動していくとした。集会の最後に参加者は、憲法25条に基づいて税金の使い道を改め、被災者の暮らしと生業の再建等を求めるアピールを採択した。
長田メモリアル集会
巨大開発により被災者の生業を破壊
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新長田の再開発地域を歩く

 火災による被害が大きかった長田区では、1月17日、協会神戸支部も参加する震災復興長田の会が、「長田メモリアル集会」を開催。神戸市会議員の森本真氏が、新長田再開発の検証について講演し、39人が参加した。
 森本氏は、被災後2カ月で決定した復興都市計画は被災者を無視する巨大開発であったと説明。新長田駅南地区のテナントを売却できず326億円もの赤字に陥ったことや、高すぎる店舗価格のために多くの被災者が生業再建をあきらめ、何とか店舗を購入した被災者も高い共益費負担に苦しんでいると紹介した。
 集会後は、森本氏の案内の下、再開発地域を徒歩で視察。茶葉販売店店主は「昔のように、小さくても人々の思いがつながる商店が戻ってきてほしい」と胸の内を語った。
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