兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年2月05日(1996号) ピックアップニュース

近畿反核医師懇談会・第2回金融機関調査結果
大手金融機関は"核兵器禁止条約を重視"

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アンケート結果を報告する武村先生(中央)

 近畿各県の協会・反核医師の会などでつくる近畿反核医師懇談会は、昨年12月19日に「金融機関の核兵器製造企業への投融資に関する第2回調査」の結果報告会を開催し、しんぶん赤旗が報道した。兵庫協会の武村義人副理事長が報告し、京都医科協会の飯田哲夫理事が挨拶、和歌山協会の松井和夫理事が司会を務めた。
 これは金融機関に核兵器製造関連企業への投融資を禁止させ、核兵器廃絶への歩みを進める国際キャンペーン「Don't bank on the bomb(DBOB)」に、近畿反核医師懇談会がプロジェクトチームをつくり取り組んでいる活動の一環として実施したもの。
 調査は、昨年8月~10月にかけて、229金融機関(銀行等158行、生命保険会社42社、損害保険会社29社)に公開質問状を送付し、三井住友・三菱UFJ・みずほの三大メガバンクを含む25機関(銀行等17行、生命保険会社5社、損害保険会社3社)から回答があった。うち、6社は投融資を行っていない等の理由により回答を差し控えるとの回答だったため、実質19社の回答。
 核兵器禁止条約の内容を重視しているかとの質問に対し、「重視している」としたのは三井住友フィナンシャルグループやりそなホールディングズ、富国生命、第一生命、三井住友トラストフィナンシャルグループなど11社(58%)で、みずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャルグループは「その他」で「認識している」と回答、「条約を知らない、分からない」としたのは、地方銀行4社(21%)だった。
 核兵器関連の製造にかかわる企業への投融資に関してポリシーを持っているかを尋ねたところ、「持っており、与信供与、投資共にしていない」が9社(48%)、「持っており、融資は核兵器に使われないことを確認した上で与信供与、投資は問題ないと考えている」が4社(21%)、「特別なポリシーはない」が4社(21%)、その他が1社(5%)となった(図)。三井住友、りそな、オリックス銀行、富国生命、第一生命などが「ポリシーを持っており、与信供与、投資共にしていない」と回答、三菱UFJはその他として「核兵器の製造を資金使途とする融資を禁じている」と回答している。
 核兵器自体のみでなく、核兵器の運搬手段としてのミサイルや誘導装置、レーダーなどの製造も核兵器の製造にかかわる投融資であると考えているか尋ねたところ、三井住友、りそな、オリックス銀行など9社(47%)が「考えている」と回答、「分からない」が5社(26%)で、「考えていない」はFWD富士生命保険のみだった。
 DBOBキャンペーンを知っているかとの質問に対しては、9社(47%)が「内容まで知っている」、3社(16%)が「キャンペーンの存在は知っている」と回答、「聞いたことがない」は7社(37%)で、三井住友・みずほ・三菱UFJ・りそな・富国生命・第一生命など大手金融機関はほとんどキャンペーンの内容を知っていると回答している。
 武村先生は、「今回の調査結果から、大手金融機関は核兵器禁止条約の内容を『重視』または『認識』し、『ESG投資』への関心の高まりやDBOBキャンペーンが広がるなか、金融機関のなかで核兵器兵器への投融資を控える動きが広がりつつあることが読み取れる」とした。
 一方、オランダのNGO「PAX」の調査では、三菱UFJ・三井住友・みずほ・オリックス・三井住友トラストは核兵器製造企業に投資をしているとされている。このことについて武村先生は、「大手金融機関のポリシーは、核兵器の製造への投融資に限って禁止しており、製造企業のその他事業への投融資は制限されていないのが現状と考えられる」と考察した。
 松井先生は、「ICANの調査で、核兵器製造企業が政府にロビー活動で130億円を投じていることが明らかになっている。核兵器製造企業は利益を得るため、核保有国に核兵器の継続保持を求めており、同キャンペーンを広げることが核廃絶実現の力となる」と強調した。
※本報告の模様や調査結果の詳細は、キャンペーン特設サイトでご覧いただける。「反核 DBOB」で検索いただきたい。

図 核兵器関連の製造にかかわる企業への投融資に関してポリシーを持っていますか?
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