兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年2月05日(1996号) ピックアップニュース

オンライン政策研究会
社会保障費拡充で必要なコロナ対策を

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保団連大会での政策方針について語る竹田先生

 協会は1月22日、協会会議室でオンライン政策研究会「2022年 社会保障充実の政治を実現する年に~保団連の政策と運動方針~」を開催。保団連理事・医科政策部長の竹田智雄先生が保団連の医療政策について解説し、会場とオンライン併用で35人が参加した。

 竹田先生は、1月29・30両日に開催される第50回保団連定期大会方針案を基に講演した。
 医療をめぐる情勢として、安倍政権以降の新自由主義政策の下、日本の医療・社会保障給付費は、高齢化度合いからみると低く抑えられ続けていると紹介。そのことは厚労省も認めているとし、社会支出の拡充が必要だとした。
 新型コロナ禍において医療機関の経営危機が生じたことについては、医療を支える保険医療機関の減収を国の責任で補填すべきだと指摘。これまでの政府による補助金等の財政措置を継続するとともに、今後の感染拡大による減収に対しては、過去の診療報酬支払い実績に基づく減収補填が必要だとした。感染拡大による医療崩壊への対策としては、重症化リスクがある人が入院できるだけの病床を確保するため、公立・公的病院の再編統合計画をただちに中止する必要があるとした。
 コロナ後の医療再建に向けては、すでに先進諸国では、法人税率の引き上げ等、新自由主義路線からの修正が始まっていることを指摘。保団連の財源の提案として、応能負担を徹底して法人税制と所得税制の累進性を強化することや、正規雇用を増やし労働者の賃金を引き上げることで保険料収入を確保すべきだと強調した。
 2022年度診療報酬改定については、岸田政権下でも全体マイナス改定となった上、本体改定率プラス0.43%はコロナ危機以前の前回改定率よりも低いと指摘。補助金を含めても医療機関の経営水準はコロナ前に戻っておらず、疲弊した医療現場の抜本的改善には程遠いとした。また看護師の処遇改善が示されているが、コロナ治療等を担う病院勤務の看護師に限定されており、広く医療機関の経営改善につながるものではないと改善を求めた。
 歯科医療については、歯科医療費の総枠拡大を引き続き求めるとともに、金銀パラジウムの材料価格を市場価格に基づいて引き上げることや、歯科技工物の保険点数の引き上げなどが求められるとした。
 そしてこれらの運動を進めるためには、国民・患者との連携が欠かせないとし、これまで保団連が実施してきた、「ストップ!負担増署名」や「クイズで考える私たちの医療(クイズハガキ)」企画のような取り組みで、世論に訴えていくと語った。
 質疑応答では、患者窓口負担、特に子どもの受診時負担はゼロを目指すことを早期に表明すべきとの意見や、介護保険制度分野についての保団連政策の拡充を求める意見、拙速なオンライン診療導入への懸念など多岐にわたる質問が出され、活発な交流がなされた。
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