2022年3月15日(2000号) ピックアップニュース
支払基金兵庫支部と懇談 AI審査の在り方など議論
支部集約化でも面談継続を確認
協会は1月13日、会員医療機関から寄せられた減点事例などをもとに、支払基金兵庫支部の審査委員会と懇談した。協会から西山裕康理事長と宮武博明副理事長(審査対策部長)、清水映二理事が、支払基金から齊藤清治審査委員長をはじめ医療顧問、審査委員ら5人が出席。減点事例の復活が認められるなどの成果もあった。
ICTやAI等を活用した審査支払新システムのもと、レセプト全体の9割程度をコンピュータチェック(以下、㏄)で完結することを基金が目指していることに対し、協会は明らかに告示・通知に反しているという事例以外はすべて、個別の医学的判断に基づく主治医の裁量を重視するよう要請した。
これに対し基金は、AIの役割は、審査することではなく「人が目視で確認するレセプト」と「㏄で確認すべきレセプト」に振り分けることであり、「人による審査を必要としないレセプトは、㏄で完結することとしている」と説明。「レセプト振分により、返戻・査定率が高いと判断されたレセプトや査定・返戻率が低くても点検条件から目視が必要とされたレセプトは、審査委員及び職員による確認を行う。診療が適切に行われたにもかかわらず誤って査定することは、患者の医療を受ける権利を阻害しかねない。㏄対象事例の診療内容の適否については、画一的あるいは一律的に適用するものではなく、個別の症例ごとに審査委員会の医学(薬学)的判断により決定する」と回答した。
AIによる振り分けのアルゴリズム等への審査委員会の関与については、「基金本部で設定を行い、AIの学習データの正確性の確保、必要な㏄の設定、㏄の精緻化によりAIによる振分対象レセプトの拡大を目指している」と述べた。
協会はまた、今年10月までに兵庫を含む各支部の審査事務が全国14拠点に集約化される方針について、医療機関再審査への対応が現行より後退することのないよう要望。基金は「再審査請求や医療機関からの面談要望などの対応は引き続き県に設置する事務局が行い、迅速かつ適切に対応する」と回答した。
このほか、減点理由が不明瞭な査定通知の改善や、マイナンバーカードによるオンライン資格確認等システム導入を医療機関に呼びかけないことなどを基金に求めた。
なお、兵庫県国保連合会審査委員会との懇談は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、延期となった。