兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年3月15日(2000号) ピックアップニュース

本紙2000号を迎えて-元新聞部長に聞く協会の取り組み
社会保障の拡充をめざして

 兵庫保険医新聞は、1963年の創刊以来、1991年に1000号を、そして今号で2000号を迎えた。2000号を迎えるにあたって、1000号以降に新聞部長を務めた、元部長の多田梢先生と池本恒彦先生に、当時の協会の取り組みについて紙面をもとに紹介いただいた。

小泉内閣の「医療大改悪」反対のたたかい
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多田 梢先生
(新聞部長1999年6月~2005年5月)
 私が新聞部長を務めたのは、「ミレニアム問題」が世界で話題に上っていた1999年からです。当時は、小泉構造改革に名を借りた「医療大改悪」とのたたかいがありました。2001年に、厚生労働省は、高齢者医療制度改革として、それまで70歳以上となっていた高齢者の対象を75歳以上に引き上げ、自己負担額を原則1割とする法案を取りまとめてきたのです。これはその後の後期高齢者医療制度のさきがけとも言える内容でした。
 さらに同時に、健保本人の3割負担導入も打ち出されました。1997年に、それまで1割だった負担を2割に引き上げたばかりだというのに、3割にしようというもので、到底許せるものではありませんでした。
 協会は、厚生労働省案が示された時から、保険医新聞上で、「改悪阻止」を掲げ、大運動に取り組みました([1]、2001年9月15日付 1336号)。
 また2002年には小泉内閣は、診療報酬マイナス改定をも強行しました。当時としては、マイナス改定は前代未聞のことで、しかも公称でマイナス2.7%、整形外科など高齢の患者が多い標榜科では3割減とも言われるものでした。診療報酬改定研究会でも当時としては最高の3350人が参加し、医療機関の実態を無視した改定へ怒りの声が寄せられました。協会はマイナス改定への抗議や健保法改悪法案の撤回を求める厚労省への要請文を決議しました([2]、2002年4月5日付 1354号)。
 2003年には、アメリカがイラクを武力攻撃し、イラク戦争が始まり、国会でも有事法制が強行成立されました。保険医新聞では、イラク戦争や有事法制に抗議する理事会決議を掲載し、緊急投稿特集「平和を求めて...」を募集して、反戦平和を求める会員の声を紹介しました([3]、2003年4月25日付 1389号2面)。
 また、2004年には、協会が中心となって、「九条の会・兵庫県医師の会」が結成され、紙面上でも、「九条の会」アピールへの賛同を呼びかけました。結成直後の評議員会には、九条の会事務局長の小森陽一東京大学教授を招き、ご講演いただきました([4]、2004年12月5日付 1443号)。
患者負担増反対と震災復興求める運動
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池本 恒彦先生
(新聞部長2005年6月~2017年5月)
 私の頃は、小泉政権末期から、民主党政権を経て、再び自民党・安倍政権に代わるという激動の時代でした。また、東日本大震災が発生し、大きく日本の社会の在り方が変わっていった時代だと思います。
 まず大きかったのは、後期高齢者医療制度が導入されたことです。同制度は、2006年に「医療改革法」として成立したものですが、保険制度のあり方を根底から変えるものであるにも関わらず、衆院でわずか44時間の審議で強行されてしまったものです。兵庫協会は法案に反対するために、元町での街頭宣伝([5]、2006年4月15日付 1487号)や、民主党の国会議員へ1万3300筆もの署名を提出([6]、2006年5月15日付 1489号)するなど、運動を強めました。法案が成立した後も、協会・保団連が高齢者団体などと協力しながら、なんとか実施を食い止めようと要請を重ねました。2008年2月には、参議院で多数を取った野党4党が共同で廃止法案を提出する([7]、2008年3月15日付 1550号)など、4月の実施に対し、最後までたたかい続けました。
 2009年に民主党への政権交代が起こり、小泉政権などそれまでの自民党による医療費抑制路線が大幅に転換されるのではないかという期待が高まりました。しかし、ふたを開けてみれば、診療報酬改定では10年ぶりに全体プラス改定となったものの、わずかプラス0・19%と、協会が求めていた大幅プラス改定とは程遠い内容でした。再診料に至ってはマイナスという残念な内容となり、民主党への期待が一気に失望へと変わったことが印象に残っています。
 2011年3月11日には、東日本大震災が発生しました。兵庫県でも揺れたことは記憶に残っています。兵庫協会は阪神・淡路大震災を経験した協会として、翌12日の理事会にて、当面の支援策を確認し、直ちに被災協会に協会役員と事務局を派遣して、情報収集と救援活動に取り組みました([8]、2011年3月25日付 1650号)。協会は全被災者の医療費一部負担金の免除や、診療報酬の概算請求を認めること、被災医療機関再建の助成を要請し、厚労省は一部負担金の免除対象者を広げるなど、協会の要請を一部実現させることができました。震災復興を求める運動は、現在の被災地訪問の取り組みにも息づいているのは、協会活動の財産と言えることだと思います。
 2012年以降は、安倍政権が復活し、次々と医療・介護の切り捨てが進められてきました。保険医新聞上では、社会保障制度改革推進法案や、社会保障制度改革国民会議「報告書」、地域医療構想、患者負担増計画等についての政策解説や、反対を求める運動について掲載を続けてきました。今後も、社会保障費抑制や負担増計画での政府の狙いについて、会員の先生方に分かりやすく伝えられる紙面となることを願っています。

小泉構造改革反対の大運動をよびかけ
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前代未聞のマイナス改定に怒り
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戦争反対を紙面でよびかけ
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「憲法9条を広げよう」と特別決議
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後期高齢者医療制度導入反対へ宣伝
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導入阻止へ民主党へ要請強める
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運動の広がりで、野党共同で反対法案を提出へ
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3・11直後に被災地へ物資など届ける
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