兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年3月25日(2001号) ピックアップニュース

県地球温暖化対策推進計画(改定案)にパブリックコメント
県独自の脱炭素計画の目標を策定せよ

 兵庫県は、昨年3月に改定したばかりの「地球温暖化対策推進計画案」を本年度中に改定すると発表し、3月10日まで県民意見(パブリックコメント)募集を行った。国の温室効果ガス削減目標引き上げを受けたものだが、内容は国の目標引き上げにあわせて削減目標をわずかに引き上げるだけに留まっている。協会は、さらなる目標引き上げや火力発電所削減、再生可能エネルギー比率を高めることなどを求める意見を、森岡芳雄環境・公害対策部長名で提出した。意見の要旨を掲載する。

 1年前の計画策定時にわれわれが多くの不備を指摘したことについて、なんら修正をせずに、今回の改定に至ったことは残念だ。意見募集のみで終わらせず、タウンミーティングなどで幅広く県民に知らせるよう求めたが、今回も2回の審議会が開催されただけで改定案が決定された。幅広く県民の意見を聞く取り組みの導入を改めて求める。
 計画では、2030年度の削減目標を▲48%と引き上げたが、2050年に実質ゼロを達成するには2030年に▲60%以上(2013年度比)の目標が必要との試算もある。一番重要なのは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出を決定的に抑制することである。国の削減目標にあわせて設定するのではなく、県の地域性、特性を考慮し、削減量を科学的に見積もり、設定することが必要だ。
 県内排出の6割を占める工場や事業所、火力発電所をいかに脱炭素型に転換するかが鍵となるが、その点が明確ではなく、産業構造の転換に向けての計画案を示すことを求める。
 温室効果ガスの排出が多い石炭火力発電所について、全く触れられていない。神戸製鋼所が神戸市灘区で石炭火発の建設を進めているが、すでに県内の電力供給量は大幅な過剰であり、リプレイス以外に発電所の新増設を行うべきではない。県として増設計画・稼働の中止を求めるなど意見表明等を行うべきである。
 福島第一原発事故や今般のロシア・ウクライナ情勢を見ても、原発がいかに危険かは明白である。原発廃止を前提とした計画策定を要望する。
 加えて、再生可能エネルギーの活用が不可欠である。兵庫県の発電割合の目標は約30%と、国と比べても低い。太陽光発電だけでなく太陽熱温水器の活用、地中熱利用の促進、小型風力発電機、家庭用風力発電機の導入推進、コ・ジェネレーションの導入推進などのために、新しいルール(制度)の構築が必要だ。
 CO2フリー水素の推進が書き込まれているが、現状は化石燃料(石炭や天然ガス)から作る水素が大半である。仮に利用する場合には、再エネ由来の水素に限るべき。
 CO2回収・貯留などは、技術的にも確立しておらず、国内に適地も少ないとされており、確立している再エネに力を注ぐ必要がある。里山保全など、しっかりとした森林活用計画の策定を求める。
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