2022年3月25日(2001号) ピックアップニュース
2022年度 診療報酬改定の要点〈医科・歯科〉
2022年度診療報酬改定で、4月1日から実施される新点数について、特徴や問題点を掲載する。
2022年度 診療報酬改定の要点〈医科〉
コロナ禍でのマイナス改定
政府は4月の診療報酬改定率を全体でマイナス0.94%、本体+0.43%(医科+0.26%)、薬価・材料価格▲1.37%とした。2014年から5回連続のマイナス改定であり、コロナ禍前の前回改定より本体のプラス幅は少ない。医療提供体制を充実させる上で不可欠な初・再診料、入院料等の基本診療料の引き上げは行われなかった。以下、今次改定について、主な新設点数など改定のポイントを紹介する。
※本文中の「要届出」は施設基準を満たした上で厚生局への届け出が必要な点数、「要基準」は届け出は不要だが施設基準を満たす必要がある点数。
[1]情報通信機器を用いた場合の点数が初診料、再診料、外来診療料に新設され、初診料は251点、再診料・外来診療料は73点とされた。従来のオンライン診療料は廃止された。
[2]初診料、再診料に以下の加算が新設された(診療所のみ)。いずれも月1回のみ算定、要届出。
1)外来感染対策向上加算(6点):新興感染症等の発生時における発熱患者への診療体制の構築や、A234-2感染対策向上加算1の届出医療機関または地域の医師会が主催する年2回のカンファレンスや年1回の訓練を実施すること等、複数の施設基準がある。
2)連携強化加算(3点):外来感染対策向上加算の届出を行っている診療所が、A234-2感染対策向上加算1の届出を行っている他の医療機関に対し、1年間に4回以上、院内の感染症発生状況等について報告を行っている場合に算定できる。
3)サーベイランス強化加算(1点):外来感染対策向上加算の届出を行っている診療所が、院内感染対策サーベイランス(JANIS)等に参加している場合に算定できる。
[3]初診料、再診料、外来診療料に、オンライン資格確認システムを活用した診療を実施した場合の電子的保健医療情報活用加算(初診7点、再診4点)(月1回)が新設された(要基準)。
[4]初診料「機能強化加算」の施設基準について、再診料の地域包括診療加算2の届出、地域包括診療料2の届出、強化型以外の支援診・支援病が在宅時医学総合管理料または施設入居時等医学総合管理料の届出をもって満たす場合は算定実績要件が追加される、等の改定が行われた。
[5]再診料「地域包括診療加算」の対象疾患に、慢性心不全および慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないものに限る)が追加された。
[6]紹介状なしで一定規模の病院を受診し、定額負担を求める患者の初診料の所定点数から200点を、外来診療料の所定点数から50点を控除し、その金額を定額負担に上乗せすることとされた(保険外し)。
2.医学管理等
[1]複数の点数に「情報通信機器を用いた場合」が新設されたほか、「情報通信機器を用いた場合」(100点/月1回)が設定されていた特定疾患療養管理料は196点へ、小児科外来診療料は218点へ引き上げられた。算定にあたっては、初診料等の「情報通信機器を用いた診療」の届出が必要。
[2]生活習慣病管理料に、外来データ提出加算(50点/月)が新設された(要届出)。診療報酬の請求状況、生活習慣病の治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚労省に提出している場合に加算する(試行データの提出等を経て、2023年10月以降算定可)。
(新設点数)
[3]下肢創傷処置管理料(500点)
下肢の潰瘍を有する入院外の患者に対して、下肢創傷処置に関する専門の知識を有する医師が、計画的な医学管理を継続して行い、療養上必要な指導を行った場合に、下肢創傷処置を算定した日の属する月に、月1回に限り算定する(要届出)。
[4]こころの連携指導料(Ⅰ)(350点)※精神科または心療内科に患者を紹介した医療機関で算定
地域社会からの孤立の状況等により、精神疾患またはその増悪に至る可能性が認められる入院外の患者に対して、診療および療養上必要な指導を行い、精神科または心療内科を標榜する医療機関に対して当該患者に係る診療情報の文書による提供等を行った場合に、初回算定月から1年を限度に月1回に限り算定する(要届出)。
[5]こころの連携指導料(Ⅱ)(500点)※精神科または心療内科で算定
上記(Ⅰ)を算定した医療機関から紹介された入院外の患者に対して、精神科または心療内科を担当する医師が、診療および療養上必要な指導を行い、当該患者を紹介した医師に対して当該患者に係る診療情報を文書により提供した場合などに、初回算定月から1年を限度に月1回に限り算定する(要届出)。
[6]アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料(1カ月目:280点、2カ月目以降:25点)
入院外の一定のアレルギー性鼻炎の患者に対して、治療内容等に係る説明を文書を用いて行い、アレルゲン免疫療法による計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する(要基準)。
[7]二次性骨折予防継続管理料
大腿骨近接部骨折の手術を行った患者に対して、関係学会のガイドラインに沿って継続的に骨粗鬆症の評価を行い、必要な治療等を実施した場合に算定する(外来の場合は月1回500点)(要届出)。
(一部新設、算定要件等が変更された点数)
[8]小児かかりつけ診療料
「時間外対応加算1または2の届出」等を満たす「1」と、「時間外対応加算3の届出」または「在宅医当番医制等により初期小児救急医療に参加し、休日または夜間の診療を年6回以上の頻度で実施等」のいずれかを満たす「2」に再編された。
[9]生活習慣病管理料
投薬の費用が包括の対象から除外され、別に算定できることとなった。これに伴い「処方箋を交付する場合」「処方箋を交付しない場合」の点数の区分がなくなった。糖尿病または高血圧症の患者について、管理方針を変更した場合に必要とされていた「患者数の定期的な記録」が不要となった。
[10]診療情報提供料(Ⅰ)
1)注2「市町村等に対して、患者に係る保健福祉サービスに必要な情報を提供した場合」の情報提供先に児童相談所が追加された。
2)注7「学校医等に対して、患者が学校生活等を送るに当たり必要な情報を提供した場合」について、次の改定が行われた。
ア 情報提供先に、「保育所、認定こども園等、幼稚園、中等教育学校の後期課程、高等学校、特別支援学校の幼稚部、高等部等、高等専門学校、専修学校の学校医等」が追加された。
イ 対象患者に、「小児慢性特定疾病医療支援の対象患者」「アナフィラキシーの既往歴のある患者」「食物アレルギーの患者」が追加された。
3)歯科医療機関連携加算1について、歯科医療機関へ情報提供を行うことができる医師の要件が「医科の保険医療機関または医科歯科併設の保険医療機関の医師」へ、対象患者の要件が「歯科訪問診療の必要性を認めた患者」へ、緩和された。
[11]小児科外来診療料
施設基準に係る届出が不要とされた。
[12]小児運動器疾患指導管理料
対象患者の年齢が「12歳未満」から「20歳未満」に引き上げられた。
[13]特定薬剤治療管理料1
対象患者に「統合失調症の患者であって、治療抵抗性統合失調症治療薬(クロザピン)を投与している患者」が追加された。
[14]退院時共同指導料1・2、介護支援等連携指導料
医療従事者等により実施される共同指導について、対面での実施が原則との規定が廃止され、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施してもよいこととされた。
[15]連携強化診療情報提供料
従来の「診療情報提供料(Ⅲ)」から「連携強化診療情報提供料」に名称変更された。妊娠中の患者(頻回の情報提供の必要性を認めない者)を除き、算定回数が「3カ月に1回」から「月1回」に変更された。
[16]療養・就労両立支援指導料
対象疾患に心疾患、糖尿病、若年性認知症が追加された。患者の就労と療養の両立に必要な情報の提供先に、患者が勤務する事業場において選任されている衛生管理者が追加された。相談支援加算に係る対象職種に、精神保健福祉士および公認心理師が追加された。
[17]ニコチン依存症管理料
1)禁煙治療補助システム指導管理加算(140点)が点数化された(要届出)。ニコチン依存症管理料1のイまたは2を算定する患者に対して、薬事承認されたアプリおよびCOチェッカーを使用して禁煙に係る指導管理を行った場合に、当該管理料の算定日に1回に限り加算する。
2)「禁煙治療補助システム加算」(2,400点)が点数化された。薬事承認されたアプリおよびCOチェッカーを使用した場合に加算する。
3.在宅医療
[1]在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院(以下「支援診」「支援病」)
施設基準に、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた看取りに関する指針を定めることが追加された。2022年3月31日において支援診・支援病の届出を行っている場合は、2022年9月30日までは当該基準に該当するとみなされるが、再度届出が必要。
[2]在宅時医学総合管理料(在医総管)、施設入居時等医学総合管理料(施医総管)
1)「月2回訪問診療をしている場合」「月1回訪問診療をしている場合」の点数が再編され、訪問による対面診療と情報通信機器による診療を組み合わせた点数が新設された。オンライン在宅管理料は廃止された。
2)継続診療加算が在宅療養移行加算「1」「2」に再編された。従来の継続診療加算の要件を満たす場合は「1」を、地域の医師会または市町村が構築する当番医制等に加入し、必要な在宅医療体制を確保して診療した場合は「2」を算定する。
3)在宅データ提出加算(50点)(要届出)が新設された。診療報酬の請求状況や診療の内容に関するデータを継続して提出している場合に月1回算定できる。
[3]在宅患者訪問看護・指導料
専門管理加算(250点)(要届出)が新設された。緩和ケア、褥瘡ケアもしくは人工肛門ケアおよび人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師または特定行為研修を修了した看護師が、対象患者に訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合に月1回算定できる。
[4]在宅がん医療総合診療料
1)小児加算(1,000点)が新設された。15歳未満の小児(小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20歳未満)に対して週1回算定できる。
2)在医総管・施医総管同様、在宅データ提出加算(50点)が新設された(要届出)。
[5]訪問看護指示料
1)訪問看護指示書の様式が変更され、理学療法士等に訪問させる場合は、実施時間および実施頻度を記載することとされた。
2)「手順書加算」(150点)が新設された。医師が訪問看護ステーション等の特定行為の研修を修了した看護師に対して手順書を交付した場合に、6カ月に1回算定する。
[6]血糖自己測定器加算
間歇スキャン式持続血糖測定器によるものについて、算定要件が大幅に緩和され、インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上実施している患者であれば算定できることとされた。
(新設点数)
[7]外来在宅共同指導料
外来医療から在宅医療に移行するに当たり、患家等において、外来医療を担う医師と在宅医療を担う医師が連携して指導等を実施した場合に、在宅医療側は「1」(400点)を外来医療側は「2」(600点)を算定する。施設に入所する患者は対象とならない。
[8]在宅ハイフローセラピー指導管理料(2,400点)
COPDの退院患者に対し、加温加湿された高流量ガスを侵襲性の低い経鼻カニューラで供給する呼吸療法を行った場合に算定する。
[9]血中ケトン体自己測定器加算
SGLT2阻害薬を服用している1型糖尿病の患者に対して、自己検査用βケトン測定電極を使用し、血中ケトン体を測定した場合に、血糖自己測定器加算とは別に40点を3カ月に3回算定できる。
4.検査
(新設点数)
[1]穿刺液・採取液検査「2 関節液検査」(50点)
関節水腫を有する患者であって、結晶性関節炎が疑われる患者に対して、偏光顕微鏡を用いて関節液の検査を行った場合に算定する。
[2]超音波減衰法検査(200点)
脂肪性肝疾患があり慢性肝炎または肝硬変の疑いがある患者に対して、薬事承認または認証を得ている汎用超音波画像診断装置で肝臓の脂肪量を評価した場合に3カ月に1回算定する。
[3]平衡機能検査のビデオヘッドインパルス検査(300点)
眼球運動記録用のCCDカメラと頭部運動を検出するセンサーが内蔵されたゴーグルを用いて、定量的に平衡機能の評価を行った場合に算定する。
[4]小腸内視鏡検査及び大腸内視鏡検査「内視鏡的留置術加算」(260点)
15歳未満の患者に対して、内視鏡的挿入補助具を用いてカプセル型内視鏡で行った場合に算定できる。
[5]大腸内視鏡検査「バルーン内視鏡加算」(450点)
バルーン内視鏡で上行結腸および盲腸へのファイバースコピーを行った場合に算定できる。
(算定要件の変更等)
[6]小児食物アレルギー負荷検査(1,000点)の対象年齢が9歳未満から16歳未満に引き上げられるとともに、算定回数の上限が年2回から年3回に拡大した。
[7]ダーモスコピーの検査対象に円形脱毛症と日光角化症が追加された。
5.投薬
[1]湿布薬の処方について、処方箋およびレセプトに理由を記載することなく処方できる上限枚数が、1処方につき70枚から63枚に減らされた。医師が必要を認め処方箋およびレセプトに理由を記載した場合に、上限を超えて投薬できる取り扱いに変更はない。
[2]一定期間内に処方箋を反復使用するリフィル処方の仕組みが設けられた。リフィル処方箋の総使用回数上限は3回とされ、1回あたりの投薬期間や総投与期間は医師の医学的判断で行う。リフィル処方の導入に伴い、処方箋(様式第二号)の様式が変更された。
[3]処方料の外来後発医薬品使用体制加算1~3について、それぞれの後発医薬品使用数量割合が厳しくされ、加算1が「90%以上」、加算2が「85%以上90%未満」、加算3が「75%以上85%未満」となった。従前の外来後発医薬品使用体制加算の届出を行っている医療機関も、4月以降に外来後発医薬品使用体制加算を算定する場合は、改めて届出が必要となる。
6.リハビリテーション
(疾患別リハビリテーション)
[1]リハビリテーション実施計画書およびリハビリテーション総合実施計画書の患者等署名について、諸般の事情で署名できない場合、下記を全て満たす場合は署名を求めなくともよいとされた。その場合においても計画書の交付は必要とされる。
ア 患者自らの署名が困難であり、患者の家族等が遠方に居住する等で署名が困難であること。
イ 疾患別リハビリテーションを初めて実施する患者でないこと。
ウ 家族等に情報通信機器を用いて内容等を説明したうえで、リハビリテーションの内容と継続に同意を得ること。
エ 患者から署名を得ることが困難であったこと、家族等に同意が得られていることをカルテに記載すること。
[2]治療継続によって状態の改善が期待できるとされた患者(別表第9の8「1」および9の9「1」の該当患者)に対して算定日数上限を超えてリハビリを行う場合において、下記の項目が要件化された。
ア 継続することになった日およびその後1月に1回以上機能的自立度評価法(FIM)を測定し必要性を判断すること(ただし2022年9月30日までは行わなくてもよい)。
イ 様式「42の2」に基づき1年間に当該疾患別リハビリを算定した人数、FIM等の報告を行うこと。
[3]リハビリテーションデータ提出加算が新設された。診療報酬の請求状況、診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合に、各疾患別リハビリに月1回50点を加算する。
7.精神科専門療法
(通院・在宅精神療法)
[1]「1 通院精神療法」と「2 在宅精神療法」の「ロ」と「ハ」の点数が、精神保健指定医が行った場合と、それ以外の場合に区分された。
[2]児童思春期精神科専門管理加算が「1」と「2」に区分され、「2」(300点)は、2年を越えて行った場合に算定できることとされた。
[3]「1 通院精神療法」に療養生活継続支援加算(350点)が新設された(要届出)。重点的な支援を要するものに対して、精神科を担当する医師の指示の下、看護師または精神保健福祉士が、医療機関等における対面による20分以上の面接を含む支援を行った場合に、初回算定日の属する月から起算して1年を限度として月1回に限り算定できる。
施設基準は下記の通り。
ア 医療機関内に、当該支援に専任の看護師または専任の精神保健福祉士が1名以上勤務している。
イ 当該看護師または精神保健福祉士が同時に担当する療養生活継続支援の対象患者の数は1人につき80人以下。また、それぞれの看護師または精神保健福祉士が担当する患者の一覧を作成している。
ウ 当該看護師については、精神科等の経験を3年以上有し、適切な研修を修了した者である。
(その他)
[4]依存症集団療法に「3 アルコール依存症の場合」(300点)が新設された(要届出)。精神科医または精神科医の指示を受けた看護師、作業療法士、精神保健福祉士もしくは公認心理士で構成される2人以上が、アルコールの使用を患者自らコントロールする手法等の習得を図るための指導を行った場合に、週1回かつ計10回に限り算定する。1回に10人に限り、60分以上実施する。
[5]精神科訪問看護指示料に手順書加算(150点)が新設された。精神科の医師が専門の管理を必要とする特定行為に係る手順書を訪問看護ステーション等の特定行為の研修を修了した看護師に交付した場合に6カ月に1回を限度に算定する。
8.処置
[1]耳鼻咽喉科を標榜する医療機関の耳鼻咽喉科担当医が、6歳未満の乳幼児に対して、耳鼻咽喉科処置(J095耳処置からJ115-2排痰誘発法)を行った場合の加算として、耳鼻咽喉科乳幼児処置加算(60点)が新設された。
[2]耳鼻咽喉科を担当する専任の医師が6歳未満の乳幼児に対して初診時に耳鼻咽喉科処置を行った場合等の加算として、耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算(80点)が新設された(要基準)。
[3]足部、足趾または踵の潰瘍に対して処置を行った場合の点数として、下肢創傷処置1~3が新設された。「1 足部(踵を除く)の浅い潰瘍」が135点、「2 足趾の深い潰瘍または踵の浅い潰瘍」が147点、「3 足部(踵を除く)の深い潰瘍または踵の深い潰瘍」が270点。
[4]陰唇癒合剥離(290点)が新設された。
[5]治療用装具採寸法について、既製品の治療用装具を処方した場合には、原則として算定できないこととされた。ただし、既製品を処方するに当たって、加工のために採寸した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に医学的な必要性および加工の内容を記載することとされた。
[6]人工腎臓について、これまで「HIF-PH阻害剤の院外処方あり・なし」で点数が区分されていたが、HIF-PH阻害剤は院内処方することが原則とされ、点数が一本化された。同一患者に対して、同一日にHIF-PH阻害剤のみを院内処方する場合は、他の薬剤を院外処方箋により投薬して差し支えないこととされた。
9.入院
[1]入院期間の計算にあたって、再入院時の取り扱いについて、悪性腫瘍の患者も3カ月経過しなければ起算日とできないこととされた。
[2]一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について、評価項目から「心電図モニターの管理」が削除され、「点滴ライン同時3本以上」が「注射薬剤3種類以上の管理」に変更された。また、「輸血や血液製剤の管理」が1点から2点に増点された。
[3]療養病棟における医療区分の取り扱いについて、中心静脈栄養を行っている患者(医療区分3)であっても摂食機能、嚥下機能の回復に必要な体制を有していない場合は医療区分2として算定することとされた(2022年9月30日まで経過措置あり)。
[4]回復期リハビリテーション病棟入院料について、対象に「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」が追加された。算定開始日から90日まで算定できる。
[5]地域包括ケア病棟入院料について、在宅復帰率や地域包括ケアの「実績要件」など多くの施設基準が厳格化・追加された。
[6]短期滞在手術等基本料3の対象が、26項目から64項目に大幅に拡大された。
〈届出について〉
[1]2022年3月31日現在届出を行っている施設基準の要件に変更がなく、引き続き要件を満たしている場合は、改めて届出を行う必要はない。
[2]施設基準の定められた新設点数や、施設基準が変更された既存点数を4月以降引き続き算定する場合は、近畿厚生局兵庫事務所に届出を行う必要がある。2022年4月については20日までに届出書の提出があり、同月末日までに要件審査を終え、届出が受理されたものについては4月1日に遡って算定することができる。
[3]経過措置が設けられた点数については、経過措置が終了するまでに新たな基準を満たした上で改めて届出を行う必要がある。
〈新型コロナ取扱い〉
[1]電話・情報通信機器を用いた初診(214点)、再診(73点)、外来診療料(74点)と慢性疾患の診療(147点)は、4月1日以降も引き続き算定できる。
[2]新型コロナウイルス感染症患者等に対する診療等について、「乳幼児感染予防策加算」(50点)は3月31日に廃止。「二類感染症患者入院診療加算(外来診療・診療報酬上臨時的取扱)」(250点、※疑い患者に対する外来診療)は7月31日まで継続される。外来、入院、在宅等で実施してきたその他の特例的な評価については、引き続き実施される。
2022年度 診療報酬改定の要点〈歯科〉
今回の改定率は過去2回を下回る+0.29%とされているが、コロナ禍のもと歯科医療の提供を行っている歯科医療機関の厳しい経営の改善に程遠いものである。
協会は引き続き、診療報酬大幅引き上げ、不合理是正、患者窓口負担軽減の運動を強めていく。
以下に主な改定内容を紹介する。詳細は3月下旬保団連発行『2022年改定の要点と解説』を参照いただきたい。
歯初診の届出医療機関は、初診料と再診料が3点引き上げられたが、財源に、P基処10点の廃止分が充てられており、プラス評価とは言えない。歯初診の施設基準を満たす院内感染防止対策の研修の項目に新興感染症への対応が追加されるとともに、標準予防策が明記された。経過措置が設けられている。
2.歯科用貴金属の随時改定が変動幅に関係なく年4回に変更
随時改定Ⅰ(変動率±5%の場合に4月、10月に実施)と随時改定Ⅱ(変動率±15%の場合に1月、7月に実施)が統合され、変動率に関係なく年4回改定することになった。素材価格の参照期間が改定実施の3カ月より前であったのが2カ月より前になった。
3.う蝕に対するフッ化物洗口指導加算、フッ化物歯面塗布処置の対象年齢や適応の拡大
う蝕多発傾向者の対象年齢が15歳まで拡大され、フッ化物洗口指導加算(F洗)の対象年齢も4歳以上13歳未満から4歳以上16歳未満に拡大した。フッ化物歯面塗布処置(F局)の対象年齢も13歳未満から16歳未満に拡大した。
初期の根面う蝕に罹患している患者へのF局110点の対象は、在宅等での療養患者に限られていたが、外来受診の場合でも歯管を算定した65歳以上の患者であれば算定できるようになった。
4.歯周病に対するSPTⅠ・Ⅱの統合、か強診の算定実績の変更
SPTⅠとⅡがSPTに一本化された。包括項目は旧SPTⅠに統合され、か強診加算120点が新設された。また、原則3カ月以上に1回の算定単位が短縮できる場合に、「か強診の医療機関でSPTを開始した場合」として引き継がれた。
か強診の施設基準を満たす継続的な口腔管理の算定実績にP重防が算入できることになった。所定の研修を受けた歯科医師に求められる三つの選択項目に、老健施設などへの定期的な歯科健診が加えられた。
歯周治療関連ではP基処とPCurが廃止され、歯周疾患処置(P処)の名称が歯周病処置に変更された。
5.口腔機能管理の対象年齢拡大
口腔機能管理料(口機能)100点の対象年齢が65歳以上から50歳以上に拡大した。
小児口腔機能管理料(小機能)100点の対象年齢が15歳未満から18歳未満に拡大した。
6.総合医療管理加算・在宅総合医療管理加算の施設基準が廃止され対象疾患が拡大
歯管の総合医療管理加算(総医)および歯在管の在宅総合医療管理加算(在歯総医)の施設基準が廃止され、全ての医療機関で算定できるようになった。医科保険医療機関から糖尿病等の対象疾患の患者について、所定の要件に基づく診療情報の提供を受け、必要な管理および療養上の指導等を行った場合、歯管に50点を加算する。
7.在宅歯科医療関連の変更点
診療時間が20分未満の歯科訪問診療1・2・3の減算が一律100分の70から、歯科訪問診療1は100 分の80に引き上げられ、歯科訪問診療2は100分の70のまま据え置き、歯科訪問診療3は100分の60に引き下げられた。
同一の患家において2人以上9人以下の患者の診療を行った場合の歯科訪問診療補助加算(訪補助)が、訪問診療Ⅰ・1100点を算定した患者については、90点(歯援診、か強診は115点)に引き上げられた。
歯援診の施設基準を満たす訪問診療1・2の算定実績のうち、歯援診2は10回以上から4回以上に引き下げられ、届出ができる医療機関の対象が拡大した。一方、歯援診1は過去1年以内に15回以上から18回以上に引き上げられた。
歯在管は歯援診1・2の施設基準が変更されたことに伴い、歯援診1は340点に引き上げられる一方、歯援診2の場合は230点に引き下げられた。
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象疾患は、摂食機能障害を有することが前提になっていたが、口腔機能低下症の患者であって継続的な歯科疾患の管理が必要な場合も対象になることが明記され、50点引き上げられた。
小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象年齢が15歳未満から18歳未満に引き上げられ、18歳に達した日以後も継続的な歯科疾患の管理が必要な場合は引き続き算定できることになり、600点に引き上げられた。
通信画像情報活用加算が新設された。地域歯科診療支援病院歯科初診料、歯援診1・2の届出医療機関が対象。訪問歯科衛生指導料(訪衛指)を算定した歯科衛生指導の実施時に情報通信機器を用いて歯科医師が口腔内の状態などをリアルタイムで観察し、訪衛指の算定から2カ月以内に歯科訪問診療を実施した場合に訪問診療料に加算できる。
8.処置・手術関連の変更点
咬合調整の区分に一次性咬合性外傷が設けられ、Brx、MC過高などが統合・整理された。
歯髄保護処置、抜髄、感染根管処置、根貼、加圧根管充填処置は2点引き上げられた。加圧根充に対するNi-Tiロータリーファイル加算150点が新設された。算定は、手術用顕微鏡加算を届け出た医療機関において所定の要件を満たす場合に、3根管以上の所定点数に加算する。
歯冠修復または補綴物の除去料のうち、「困難なもの」が6点、「著しく困難なもの」が10点引き上げられた。
機械的歯面清掃処置(歯清)が2点引き上げられ、周術期専門的口腔衛生処置(術口衛)1が8点、術口衛2が10点引き上げられた。また、在宅等療養患者専門的口腔衛生処置と非経口摂取患者口腔粘膜処置がそれぞれ10点引き上げられた。
手術関連では、普通抜歯(前歯、臼歯)が5点、難抜歯加算が20点、埋伏歯抜歯が26点、下顎水平埋伏歯の加算が10点引き上げられた。創傷処理(筋肉・臓器に達しない5㎝未満)が60点、小児創傷処理も5㎝未満の区分で50点ないし60点引き上げられた。これに伴い後出血処置も60点引き上げられる。
9.検査・画像診断・投薬関連の変更点
口腔バイオフィルム感染症の診断を目的とした口腔細菌定量検査130点が新設された。
歯科部分パノラマ断層撮影が新設され、異常絞扼反射(強い嘔吐反射)を有する患者で、歯科エックス線撮影が困難な場合であって、歯科部分パノラマ断層撮影装置を用いて局所的な撮影を行った場合に算定できる。
歯科用3次元エックス線断層撮影の対象として、「複雑な解剖学的根管形態」等を確認する特段の必要性が認められる場合への適用が明確化された。
外来後発医薬品使用体制加算1,2、3の施設基準の届出に必要な後発医薬品の使用割合がそれぞれ引き上げられた。2022年4月1日以降に算定する場合は再度の届出が必要。
10.歯冠修復・欠損補綴関連の変更点
失活歯に対する歯冠形成のメタルコア加算30点が廃止された。また、支台築造関連では、支台築造印象が16点引き上げられ、ファイバーポストを用いた場合の支台築造が、間接法、直接法ともに20点ずつ引き上げられた。
歯科用CAD/CAM装置を用いた歯冠修復物・CAD/CAMインレーが新設された。臼歯部に適用される。隣接歯との接触面を含む窩洞(複雑なもの)に限り、1歯につき、750点(材料料除く)を算定する。
下顎大臼歯を歯根分割掻爬するとともに歯内療法をした場合におけるCAD/CAM冠の適応が明記された。
レジン前装チタン冠が新設された。チタンおよびチタン合金による前歯部レジン前装金属冠を装着した場合、1歯につき1866点を算定する。レジン前装チタン冠は、前歯の単独冠に限る。
これまでインレーまたは充填の準用点数だった根面被覆が、新設項目として独立した。歯内療法により根の保存可能なものに適切な保存処置をした場合に算定する。
期中に保険導入された磁性アタッチメント義歯の区分が独立した。磁石構造体は準用点数であった義歯修理の点数引き上げに伴い、製作技術料が8点引き上げられ、材料料の777点と合わせて1個につき1037点になった。
有床義歯の点数が、レジン床義歯は引き上げられ、熱可塑性義歯は引き下げられた。また、義歯修理やクラスプの点数が引き上げられた。
11.歯科矯正の適応拡大
歯科矯正の適応対象となる厚生労働大臣が定める疾患に、巨大静脈奇形(頸部口腔咽頭びまん性病変)、毛髪・鼻・指節症候群が追加された。
永久歯萌出不全に起因した咬合異常に対する歯科矯正について、対象が「前歯永久歯3歯以上」から、「前歯および小臼歯の永久歯のうち3歯以上」の萌出不全に起因した咬合異常に拡大された。
12.医科・歯科連携、病診連携など
初診料の歯科診療特別対応連携加算(特連)が50点引き上げられ、届出ができる医療機関が拡大されて、要件を満たせば歯科を標ぼうする保険医療機関は届出ができることとされた。
診療情報提供料(情Ⅲ)の名称が「連携強化診療情報提供料」に変更された。また、かかりつけ医機能を有する医科保険医療機関からの紹介に基づき情報提供を行った場合の算定回数が、3月に1回から月1回に変更された。
13.マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認の誘導策
オンライン資格確認を実施する医療機関を増やすための誘導策として、基本診療料に加算できる電子的保健医療情報活用加算が新設された。オンライン請求を行い、オンライン資格確認体制を有している医療機関が対象であり、届出は不要。
2022年度 診療報酬改定の要点〈医科〉
医療機関経営の回復困難
コロナ禍でのマイナス改定政府は4月の診療報酬改定率を全体でマイナス0.94%、本体+0.43%(医科+0.26%)、薬価・材料価格▲1.37%とした。2014年から5回連続のマイナス改定であり、コロナ禍前の前回改定より本体のプラス幅は少ない。医療提供体制を充実させる上で不可欠な初・再診料、入院料等の基本診療料の引き上げは行われなかった。以下、今次改定について、主な新設点数など改定のポイントを紹介する。
※本文中の「要届出」は施設基準を満たした上で厚生局への届け出が必要な点数、「要基準」は届け出は不要だが施設基準を満たす必要がある点数。
〈主な改定項目〉
1.初・再診料等[1]情報通信機器を用いた場合の点数が初診料、再診料、外来診療料に新設され、初診料は251点、再診料・外来診療料は73点とされた。従来のオンライン診療料は廃止された。
[2]初診料、再診料に以下の加算が新設された(診療所のみ)。いずれも月1回のみ算定、要届出。
1)外来感染対策向上加算(6点):新興感染症等の発生時における発熱患者への診療体制の構築や、A234-2感染対策向上加算1の届出医療機関または地域の医師会が主催する年2回のカンファレンスや年1回の訓練を実施すること等、複数の施設基準がある。
2)連携強化加算(3点):外来感染対策向上加算の届出を行っている診療所が、A234-2感染対策向上加算1の届出を行っている他の医療機関に対し、1年間に4回以上、院内の感染症発生状況等について報告を行っている場合に算定できる。
3)サーベイランス強化加算(1点):外来感染対策向上加算の届出を行っている診療所が、院内感染対策サーベイランス(JANIS)等に参加している場合に算定できる。
[3]初診料、再診料、外来診療料に、オンライン資格確認システムを活用した診療を実施した場合の電子的保健医療情報活用加算(初診7点、再診4点)(月1回)が新設された(要基準)。
[4]初診料「機能強化加算」の施設基準について、再診料の地域包括診療加算2の届出、地域包括診療料2の届出、強化型以外の支援診・支援病が在宅時医学総合管理料または施設入居時等医学総合管理料の届出をもって満たす場合は算定実績要件が追加される、等の改定が行われた。
[5]再診料「地域包括診療加算」の対象疾患に、慢性心不全および慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないものに限る)が追加された。
[6]紹介状なしで一定規模の病院を受診し、定額負担を求める患者の初診料の所定点数から200点を、外来診療料の所定点数から50点を控除し、その金額を定額負担に上乗せすることとされた(保険外し)。
2.医学管理等
[1]複数の点数に「情報通信機器を用いた場合」が新設されたほか、「情報通信機器を用いた場合」(100点/月1回)が設定されていた特定疾患療養管理料は196点へ、小児科外来診療料は218点へ引き上げられた。算定にあたっては、初診料等の「情報通信機器を用いた診療」の届出が必要。
[2]生活習慣病管理料に、外来データ提出加算(50点/月)が新設された(要届出)。診療報酬の請求状況、生活習慣病の治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚労省に提出している場合に加算する(試行データの提出等を経て、2023年10月以降算定可)。
(新設点数)
[3]下肢創傷処置管理料(500点)
下肢の潰瘍を有する入院外の患者に対して、下肢創傷処置に関する専門の知識を有する医師が、計画的な医学管理を継続して行い、療養上必要な指導を行った場合に、下肢創傷処置を算定した日の属する月に、月1回に限り算定する(要届出)。
[4]こころの連携指導料(Ⅰ)(350点)※精神科または心療内科に患者を紹介した医療機関で算定
地域社会からの孤立の状況等により、精神疾患またはその増悪に至る可能性が認められる入院外の患者に対して、診療および療養上必要な指導を行い、精神科または心療内科を標榜する医療機関に対して当該患者に係る診療情報の文書による提供等を行った場合に、初回算定月から1年を限度に月1回に限り算定する(要届出)。
[5]こころの連携指導料(Ⅱ)(500点)※精神科または心療内科で算定
上記(Ⅰ)を算定した医療機関から紹介された入院外の患者に対して、精神科または心療内科を担当する医師が、診療および療養上必要な指導を行い、当該患者を紹介した医師に対して当該患者に係る診療情報を文書により提供した場合などに、初回算定月から1年を限度に月1回に限り算定する(要届出)。
[6]アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料(1カ月目:280点、2カ月目以降:25点)
入院外の一定のアレルギー性鼻炎の患者に対して、治療内容等に係る説明を文書を用いて行い、アレルゲン免疫療法による計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する(要基準)。
[7]二次性骨折予防継続管理料
大腿骨近接部骨折の手術を行った患者に対して、関係学会のガイドラインに沿って継続的に骨粗鬆症の評価を行い、必要な治療等を実施した場合に算定する(外来の場合は月1回500点)(要届出)。
(一部新設、算定要件等が変更された点数)
[8]小児かかりつけ診療料
「時間外対応加算1または2の届出」等を満たす「1」と、「時間外対応加算3の届出」または「在宅医当番医制等により初期小児救急医療に参加し、休日または夜間の診療を年6回以上の頻度で実施等」のいずれかを満たす「2」に再編された。
[9]生活習慣病管理料
投薬の費用が包括の対象から除外され、別に算定できることとなった。これに伴い「処方箋を交付する場合」「処方箋を交付しない場合」の点数の区分がなくなった。糖尿病または高血圧症の患者について、管理方針を変更した場合に必要とされていた「患者数の定期的な記録」が不要となった。
[10]診療情報提供料(Ⅰ)
1)注2「市町村等に対して、患者に係る保健福祉サービスに必要な情報を提供した場合」の情報提供先に児童相談所が追加された。
2)注7「学校医等に対して、患者が学校生活等を送るに当たり必要な情報を提供した場合」について、次の改定が行われた。
ア 情報提供先に、「保育所、認定こども園等、幼稚園、中等教育学校の後期課程、高等学校、特別支援学校の幼稚部、高等部等、高等専門学校、専修学校の学校医等」が追加された。
イ 対象患者に、「小児慢性特定疾病医療支援の対象患者」「アナフィラキシーの既往歴のある患者」「食物アレルギーの患者」が追加された。
3)歯科医療機関連携加算1について、歯科医療機関へ情報提供を行うことができる医師の要件が「医科の保険医療機関または医科歯科併設の保険医療機関の医師」へ、対象患者の要件が「歯科訪問診療の必要性を認めた患者」へ、緩和された。
[11]小児科外来診療料
施設基準に係る届出が不要とされた。
[12]小児運動器疾患指導管理料
対象患者の年齢が「12歳未満」から「20歳未満」に引き上げられた。
[13]特定薬剤治療管理料1
対象患者に「統合失調症の患者であって、治療抵抗性統合失調症治療薬(クロザピン)を投与している患者」が追加された。
[14]退院時共同指導料1・2、介護支援等連携指導料
医療従事者等により実施される共同指導について、対面での実施が原則との規定が廃止され、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施してもよいこととされた。
[15]連携強化診療情報提供料
従来の「診療情報提供料(Ⅲ)」から「連携強化診療情報提供料」に名称変更された。妊娠中の患者(頻回の情報提供の必要性を認めない者)を除き、算定回数が「3カ月に1回」から「月1回」に変更された。
[16]療養・就労両立支援指導料
対象疾患に心疾患、糖尿病、若年性認知症が追加された。患者の就労と療養の両立に必要な情報の提供先に、患者が勤務する事業場において選任されている衛生管理者が追加された。相談支援加算に係る対象職種に、精神保健福祉士および公認心理師が追加された。
[17]ニコチン依存症管理料
1)禁煙治療補助システム指導管理加算(140点)が点数化された(要届出)。ニコチン依存症管理料1のイまたは2を算定する患者に対して、薬事承認されたアプリおよびCOチェッカーを使用して禁煙に係る指導管理を行った場合に、当該管理料の算定日に1回に限り加算する。
2)「禁煙治療補助システム加算」(2,400点)が点数化された。薬事承認されたアプリおよびCOチェッカーを使用した場合に加算する。
3.在宅医療
[1]在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院(以下「支援診」「支援病」)
施設基準に、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた看取りに関する指針を定めることが追加された。2022年3月31日において支援診・支援病の届出を行っている場合は、2022年9月30日までは当該基準に該当するとみなされるが、再度届出が必要。
[2]在宅時医学総合管理料(在医総管)、施設入居時等医学総合管理料(施医総管)
1)「月2回訪問診療をしている場合」「月1回訪問診療をしている場合」の点数が再編され、訪問による対面診療と情報通信機器による診療を組み合わせた点数が新設された。オンライン在宅管理料は廃止された。
2)継続診療加算が在宅療養移行加算「1」「2」に再編された。従来の継続診療加算の要件を満たす場合は「1」を、地域の医師会または市町村が構築する当番医制等に加入し、必要な在宅医療体制を確保して診療した場合は「2」を算定する。
3)在宅データ提出加算(50点)(要届出)が新設された。診療報酬の請求状況や診療の内容に関するデータを継続して提出している場合に月1回算定できる。
[3]在宅患者訪問看護・指導料
専門管理加算(250点)(要届出)が新設された。緩和ケア、褥瘡ケアもしくは人工肛門ケアおよび人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師または特定行為研修を修了した看護師が、対象患者に訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合に月1回算定できる。
[4]在宅がん医療総合診療料
1)小児加算(1,000点)が新設された。15歳未満の小児(小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20歳未満)に対して週1回算定できる。
2)在医総管・施医総管同様、在宅データ提出加算(50点)が新設された(要届出)。
[5]訪問看護指示料
1)訪問看護指示書の様式が変更され、理学療法士等に訪問させる場合は、実施時間および実施頻度を記載することとされた。
2)「手順書加算」(150点)が新設された。医師が訪問看護ステーション等の特定行為の研修を修了した看護師に対して手順書を交付した場合に、6カ月に1回算定する。
[6]血糖自己測定器加算
間歇スキャン式持続血糖測定器によるものについて、算定要件が大幅に緩和され、インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上実施している患者であれば算定できることとされた。
(新設点数)
[7]外来在宅共同指導料
外来医療から在宅医療に移行するに当たり、患家等において、外来医療を担う医師と在宅医療を担う医師が連携して指導等を実施した場合に、在宅医療側は「1」(400点)を外来医療側は「2」(600点)を算定する。施設に入所する患者は対象とならない。
[8]在宅ハイフローセラピー指導管理料(2,400点)
COPDの退院患者に対し、加温加湿された高流量ガスを侵襲性の低い経鼻カニューラで供給する呼吸療法を行った場合に算定する。
[9]血中ケトン体自己測定器加算
SGLT2阻害薬を服用している1型糖尿病の患者に対して、自己検査用βケトン測定電極を使用し、血中ケトン体を測定した場合に、血糖自己測定器加算とは別に40点を3カ月に3回算定できる。
4.検査
(新設点数)
[1]穿刺液・採取液検査「2 関節液検査」(50点)
関節水腫を有する患者であって、結晶性関節炎が疑われる患者に対して、偏光顕微鏡を用いて関節液の検査を行った場合に算定する。
[2]超音波減衰法検査(200点)
脂肪性肝疾患があり慢性肝炎または肝硬変の疑いがある患者に対して、薬事承認または認証を得ている汎用超音波画像診断装置で肝臓の脂肪量を評価した場合に3カ月に1回算定する。
[3]平衡機能検査のビデオヘッドインパルス検査(300点)
眼球運動記録用のCCDカメラと頭部運動を検出するセンサーが内蔵されたゴーグルを用いて、定量的に平衡機能の評価を行った場合に算定する。
[4]小腸内視鏡検査及び大腸内視鏡検査「内視鏡的留置術加算」(260点)
15歳未満の患者に対して、内視鏡的挿入補助具を用いてカプセル型内視鏡で行った場合に算定できる。
[5]大腸内視鏡検査「バルーン内視鏡加算」(450点)
バルーン内視鏡で上行結腸および盲腸へのファイバースコピーを行った場合に算定できる。
(算定要件の変更等)
[6]小児食物アレルギー負荷検査(1,000点)の対象年齢が9歳未満から16歳未満に引き上げられるとともに、算定回数の上限が年2回から年3回に拡大した。
[7]ダーモスコピーの検査対象に円形脱毛症と日光角化症が追加された。
5.投薬
[1]湿布薬の処方について、処方箋およびレセプトに理由を記載することなく処方できる上限枚数が、1処方につき70枚から63枚に減らされた。医師が必要を認め処方箋およびレセプトに理由を記載した場合に、上限を超えて投薬できる取り扱いに変更はない。
[2]一定期間内に処方箋を反復使用するリフィル処方の仕組みが設けられた。リフィル処方箋の総使用回数上限は3回とされ、1回あたりの投薬期間や総投与期間は医師の医学的判断で行う。リフィル処方の導入に伴い、処方箋(様式第二号)の様式が変更された。
[3]処方料の外来後発医薬品使用体制加算1~3について、それぞれの後発医薬品使用数量割合が厳しくされ、加算1が「90%以上」、加算2が「85%以上90%未満」、加算3が「75%以上85%未満」となった。従前の外来後発医薬品使用体制加算の届出を行っている医療機関も、4月以降に外来後発医薬品使用体制加算を算定する場合は、改めて届出が必要となる。
6.リハビリテーション
(疾患別リハビリテーション)
[1]リハビリテーション実施計画書およびリハビリテーション総合実施計画書の患者等署名について、諸般の事情で署名できない場合、下記を全て満たす場合は署名を求めなくともよいとされた。その場合においても計画書の交付は必要とされる。
ア 患者自らの署名が困難であり、患者の家族等が遠方に居住する等で署名が困難であること。
イ 疾患別リハビリテーションを初めて実施する患者でないこと。
ウ 家族等に情報通信機器を用いて内容等を説明したうえで、リハビリテーションの内容と継続に同意を得ること。
エ 患者から署名を得ることが困難であったこと、家族等に同意が得られていることをカルテに記載すること。
[2]治療継続によって状態の改善が期待できるとされた患者(別表第9の8「1」および9の9「1」の該当患者)に対して算定日数上限を超えてリハビリを行う場合において、下記の項目が要件化された。
ア 継続することになった日およびその後1月に1回以上機能的自立度評価法(FIM)を測定し必要性を判断すること(ただし2022年9月30日までは行わなくてもよい)。
イ 様式「42の2」に基づき1年間に当該疾患別リハビリを算定した人数、FIM等の報告を行うこと。
[3]リハビリテーションデータ提出加算が新設された。診療報酬の請求状況、診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合に、各疾患別リハビリに月1回50点を加算する。
7.精神科専門療法
(通院・在宅精神療法)
[1]「1 通院精神療法」と「2 在宅精神療法」の「ロ」と「ハ」の点数が、精神保健指定医が行った場合と、それ以外の場合に区分された。
[2]児童思春期精神科専門管理加算が「1」と「2」に区分され、「2」(300点)は、2年を越えて行った場合に算定できることとされた。
[3]「1 通院精神療法」に療養生活継続支援加算(350点)が新設された(要届出)。重点的な支援を要するものに対して、精神科を担当する医師の指示の下、看護師または精神保健福祉士が、医療機関等における対面による20分以上の面接を含む支援を行った場合に、初回算定日の属する月から起算して1年を限度として月1回に限り算定できる。
施設基準は下記の通り。
ア 医療機関内に、当該支援に専任の看護師または専任の精神保健福祉士が1名以上勤務している。
イ 当該看護師または精神保健福祉士が同時に担当する療養生活継続支援の対象患者の数は1人につき80人以下。また、それぞれの看護師または精神保健福祉士が担当する患者の一覧を作成している。
ウ 当該看護師については、精神科等の経験を3年以上有し、適切な研修を修了した者である。
(その他)
[4]依存症集団療法に「3 アルコール依存症の場合」(300点)が新設された(要届出)。精神科医または精神科医の指示を受けた看護師、作業療法士、精神保健福祉士もしくは公認心理士で構成される2人以上が、アルコールの使用を患者自らコントロールする手法等の習得を図るための指導を行った場合に、週1回かつ計10回に限り算定する。1回に10人に限り、60分以上実施する。
[5]精神科訪問看護指示料に手順書加算(150点)が新設された。精神科の医師が専門の管理を必要とする特定行為に係る手順書を訪問看護ステーション等の特定行為の研修を修了した看護師に交付した場合に6カ月に1回を限度に算定する。
8.処置
[1]耳鼻咽喉科を標榜する医療機関の耳鼻咽喉科担当医が、6歳未満の乳幼児に対して、耳鼻咽喉科処置(J095耳処置からJ115-2排痰誘発法)を行った場合の加算として、耳鼻咽喉科乳幼児処置加算(60点)が新設された。
[2]耳鼻咽喉科を担当する専任の医師が6歳未満の乳幼児に対して初診時に耳鼻咽喉科処置を行った場合等の加算として、耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算(80点)が新設された(要基準)。
[3]足部、足趾または踵の潰瘍に対して処置を行った場合の点数として、下肢創傷処置1~3が新設された。「1 足部(踵を除く)の浅い潰瘍」が135点、「2 足趾の深い潰瘍または踵の浅い潰瘍」が147点、「3 足部(踵を除く)の深い潰瘍または踵の深い潰瘍」が270点。
[4]陰唇癒合剥離(290点)が新設された。
[5]治療用装具採寸法について、既製品の治療用装具を処方した場合には、原則として算定できないこととされた。ただし、既製品を処方するに当たって、加工のために採寸した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に医学的な必要性および加工の内容を記載することとされた。
[6]人工腎臓について、これまで「HIF-PH阻害剤の院外処方あり・なし」で点数が区分されていたが、HIF-PH阻害剤は院内処方することが原則とされ、点数が一本化された。同一患者に対して、同一日にHIF-PH阻害剤のみを院内処方する場合は、他の薬剤を院外処方箋により投薬して差し支えないこととされた。
9.入院
[1]入院期間の計算にあたって、再入院時の取り扱いについて、悪性腫瘍の患者も3カ月経過しなければ起算日とできないこととされた。
[2]一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について、評価項目から「心電図モニターの管理」が削除され、「点滴ライン同時3本以上」が「注射薬剤3種類以上の管理」に変更された。また、「輸血や血液製剤の管理」が1点から2点に増点された。
[3]療養病棟における医療区分の取り扱いについて、中心静脈栄養を行っている患者(医療区分3)であっても摂食機能、嚥下機能の回復に必要な体制を有していない場合は医療区分2として算定することとされた(2022年9月30日まで経過措置あり)。
[4]回復期リハビリテーション病棟入院料について、対象に「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」が追加された。算定開始日から90日まで算定できる。
[5]地域包括ケア病棟入院料について、在宅復帰率や地域包括ケアの「実績要件」など多くの施設基準が厳格化・追加された。
[6]短期滞在手術等基本料3の対象が、26項目から64項目に大幅に拡大された。
〈届出について〉
[1]2022年3月31日現在届出を行っている施設基準の要件に変更がなく、引き続き要件を満たしている場合は、改めて届出を行う必要はない。
[2]施設基準の定められた新設点数や、施設基準が変更された既存点数を4月以降引き続き算定する場合は、近畿厚生局兵庫事務所に届出を行う必要がある。2022年4月については20日までに届出書の提出があり、同月末日までに要件審査を終え、届出が受理されたものについては4月1日に遡って算定することができる。
[3]経過措置が設けられた点数については、経過措置が終了するまでに新たな基準を満たした上で改めて届出を行う必要がある。
〈新型コロナ取扱い〉
[1]電話・情報通信機器を用いた初診(214点)、再診(73点)、外来診療料(74点)と慢性疾患の診療(147点)は、4月1日以降も引き続き算定できる。
[2]新型コロナウイルス感染症患者等に対する診療等について、「乳幼児感染予防策加算」(50点)は3月31日に廃止。「二類感染症患者入院診療加算(外来診療・診療報酬上臨時的取扱)」(250点、※疑い患者に対する外来診療)は7月31日まで継続される。外来、入院、在宅等で実施してきたその他の特例的な評価については、引き続き実施される。
2022年度 診療報酬改定の要点〈歯科〉
歯科医院経営の改善にほど遠い
今回の改定率は過去2回を下回る+0.29%とされているが、コロナ禍のもと歯科医療の提供を行っている歯科医療機関の厳しい経営の改善に程遠いものである。協会は引き続き、診療報酬大幅引き上げ、不合理是正、患者窓口負担軽減の運動を強めていく。
以下に主な改定内容を紹介する。詳細は3月下旬保団連発行『2022年改定の要点と解説』を参照いただきたい。
〈主な改定項目〉
1.歯科初診料注1の施設基準の研修要件追加、P基処廃止などで初・再診料が引き上げ歯初診の届出医療機関は、初診料と再診料が3点引き上げられたが、財源に、P基処10点の廃止分が充てられており、プラス評価とは言えない。歯初診の施設基準を満たす院内感染防止対策の研修の項目に新興感染症への対応が追加されるとともに、標準予防策が明記された。経過措置が設けられている。
2.歯科用貴金属の随時改定が変動幅に関係なく年4回に変更
随時改定Ⅰ(変動率±5%の場合に4月、10月に実施)と随時改定Ⅱ(変動率±15%の場合に1月、7月に実施)が統合され、変動率に関係なく年4回改定することになった。素材価格の参照期間が改定実施の3カ月より前であったのが2カ月より前になった。
3.う蝕に対するフッ化物洗口指導加算、フッ化物歯面塗布処置の対象年齢や適応の拡大
う蝕多発傾向者の対象年齢が15歳まで拡大され、フッ化物洗口指導加算(F洗)の対象年齢も4歳以上13歳未満から4歳以上16歳未満に拡大した。フッ化物歯面塗布処置(F局)の対象年齢も13歳未満から16歳未満に拡大した。
初期の根面う蝕に罹患している患者へのF局110点の対象は、在宅等での療養患者に限られていたが、外来受診の場合でも歯管を算定した65歳以上の患者であれば算定できるようになった。
4.歯周病に対するSPTⅠ・Ⅱの統合、か強診の算定実績の変更
SPTⅠとⅡがSPTに一本化された。包括項目は旧SPTⅠに統合され、か強診加算120点が新設された。また、原則3カ月以上に1回の算定単位が短縮できる場合に、「か強診の医療機関でSPTを開始した場合」として引き継がれた。
か強診の施設基準を満たす継続的な口腔管理の算定実績にP重防が算入できることになった。所定の研修を受けた歯科医師に求められる三つの選択項目に、老健施設などへの定期的な歯科健診が加えられた。
歯周治療関連ではP基処とPCurが廃止され、歯周疾患処置(P処)の名称が歯周病処置に変更された。
5.口腔機能管理の対象年齢拡大
口腔機能管理料(口機能)100点の対象年齢が65歳以上から50歳以上に拡大した。
小児口腔機能管理料(小機能)100点の対象年齢が15歳未満から18歳未満に拡大した。
6.総合医療管理加算・在宅総合医療管理加算の施設基準が廃止され対象疾患が拡大
歯管の総合医療管理加算(総医)および歯在管の在宅総合医療管理加算(在歯総医)の施設基準が廃止され、全ての医療機関で算定できるようになった。医科保険医療機関から糖尿病等の対象疾患の患者について、所定の要件に基づく診療情報の提供を受け、必要な管理および療養上の指導等を行った場合、歯管に50点を加算する。
7.在宅歯科医療関連の変更点
診療時間が20分未満の歯科訪問診療1・2・3の減算が一律100分の70から、歯科訪問診療1は100 分の80に引き上げられ、歯科訪問診療2は100分の70のまま据え置き、歯科訪問診療3は100分の60に引き下げられた。
同一の患家において2人以上9人以下の患者の診療を行った場合の歯科訪問診療補助加算(訪補助)が、訪問診療Ⅰ・1100点を算定した患者については、90点(歯援診、か強診は115点)に引き上げられた。
歯援診の施設基準を満たす訪問診療1・2の算定実績のうち、歯援診2は10回以上から4回以上に引き下げられ、届出ができる医療機関の対象が拡大した。一方、歯援診1は過去1年以内に15回以上から18回以上に引き上げられた。
歯在管は歯援診1・2の施設基準が変更されたことに伴い、歯援診1は340点に引き上げられる一方、歯援診2の場合は230点に引き下げられた。
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象疾患は、摂食機能障害を有することが前提になっていたが、口腔機能低下症の患者であって継続的な歯科疾患の管理が必要な場合も対象になることが明記され、50点引き上げられた。
小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象年齢が15歳未満から18歳未満に引き上げられ、18歳に達した日以後も継続的な歯科疾患の管理が必要な場合は引き続き算定できることになり、600点に引き上げられた。
通信画像情報活用加算が新設された。地域歯科診療支援病院歯科初診料、歯援診1・2の届出医療機関が対象。訪問歯科衛生指導料(訪衛指)を算定した歯科衛生指導の実施時に情報通信機器を用いて歯科医師が口腔内の状態などをリアルタイムで観察し、訪衛指の算定から2カ月以内に歯科訪問診療を実施した場合に訪問診療料に加算できる。
8.処置・手術関連の変更点
咬合調整の区分に一次性咬合性外傷が設けられ、Brx、MC過高などが統合・整理された。
歯髄保護処置、抜髄、感染根管処置、根貼、加圧根管充填処置は2点引き上げられた。加圧根充に対するNi-Tiロータリーファイル加算150点が新設された。算定は、手術用顕微鏡加算を届け出た医療機関において所定の要件を満たす場合に、3根管以上の所定点数に加算する。
歯冠修復または補綴物の除去料のうち、「困難なもの」が6点、「著しく困難なもの」が10点引き上げられた。
機械的歯面清掃処置(歯清)が2点引き上げられ、周術期専門的口腔衛生処置(術口衛)1が8点、術口衛2が10点引き上げられた。また、在宅等療養患者専門的口腔衛生処置と非経口摂取患者口腔粘膜処置がそれぞれ10点引き上げられた。
手術関連では、普通抜歯(前歯、臼歯)が5点、難抜歯加算が20点、埋伏歯抜歯が26点、下顎水平埋伏歯の加算が10点引き上げられた。創傷処理(筋肉・臓器に達しない5㎝未満)が60点、小児創傷処理も5㎝未満の区分で50点ないし60点引き上げられた。これに伴い後出血処置も60点引き上げられる。
9.検査・画像診断・投薬関連の変更点
口腔バイオフィルム感染症の診断を目的とした口腔細菌定量検査130点が新設された。
歯科部分パノラマ断層撮影が新設され、異常絞扼反射(強い嘔吐反射)を有する患者で、歯科エックス線撮影が困難な場合であって、歯科部分パノラマ断層撮影装置を用いて局所的な撮影を行った場合に算定できる。
歯科用3次元エックス線断層撮影の対象として、「複雑な解剖学的根管形態」等を確認する特段の必要性が認められる場合への適用が明確化された。
外来後発医薬品使用体制加算1,2、3の施設基準の届出に必要な後発医薬品の使用割合がそれぞれ引き上げられた。2022年4月1日以降に算定する場合は再度の届出が必要。
10.歯冠修復・欠損補綴関連の変更点
失活歯に対する歯冠形成のメタルコア加算30点が廃止された。また、支台築造関連では、支台築造印象が16点引き上げられ、ファイバーポストを用いた場合の支台築造が、間接法、直接法ともに20点ずつ引き上げられた。
歯科用CAD/CAM装置を用いた歯冠修復物・CAD/CAMインレーが新設された。臼歯部に適用される。隣接歯との接触面を含む窩洞(複雑なもの)に限り、1歯につき、750点(材料料除く)を算定する。
下顎大臼歯を歯根分割掻爬するとともに歯内療法をした場合におけるCAD/CAM冠の適応が明記された。
レジン前装チタン冠が新設された。チタンおよびチタン合金による前歯部レジン前装金属冠を装着した場合、1歯につき1866点を算定する。レジン前装チタン冠は、前歯の単独冠に限る。
これまでインレーまたは充填の準用点数だった根面被覆が、新設項目として独立した。歯内療法により根の保存可能なものに適切な保存処置をした場合に算定する。
期中に保険導入された磁性アタッチメント義歯の区分が独立した。磁石構造体は準用点数であった義歯修理の点数引き上げに伴い、製作技術料が8点引き上げられ、材料料の777点と合わせて1個につき1037点になった。
有床義歯の点数が、レジン床義歯は引き上げられ、熱可塑性義歯は引き下げられた。また、義歯修理やクラスプの点数が引き上げられた。
11.歯科矯正の適応拡大
歯科矯正の適応対象となる厚生労働大臣が定める疾患に、巨大静脈奇形(頸部口腔咽頭びまん性病変)、毛髪・鼻・指節症候群が追加された。
永久歯萌出不全に起因した咬合異常に対する歯科矯正について、対象が「前歯永久歯3歯以上」から、「前歯および小臼歯の永久歯のうち3歯以上」の萌出不全に起因した咬合異常に拡大された。
12.医科・歯科連携、病診連携など
初診料の歯科診療特別対応連携加算(特連)が50点引き上げられ、届出ができる医療機関が拡大されて、要件を満たせば歯科を標ぼうする保険医療機関は届出ができることとされた。
診療情報提供料(情Ⅲ)の名称が「連携強化診療情報提供料」に変更された。また、かかりつけ医機能を有する医科保険医療機関からの紹介に基づき情報提供を行った場合の算定回数が、3月に1回から月1回に変更された。
13.マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認の誘導策
オンライン資格確認を実施する医療機関を増やすための誘導策として、基本診療料に加算できる電子的保健医療情報活用加算が新設された。オンライン請求を行い、オンライン資格確認体制を有している医療機関が対象であり、届出は不要。