2022年4月25日(2004号) ピックアップニュース
燭心
大型連休の行楽シーズン。春の陽気に誘われて人出が増えているが、コロナ禍は新たな変異株も発生するなど予断を許さない状況が続いている。第6波が落ち着いた時期こそ、政府はコロナ対策をどうするか決めるべきであったが、経済の回復へ「イベントワクワク割」なるキャンペーンを実施しようと、躍起になっている。人流が増えれば感染者が激増するのは明白であり、日本政府の危機管理意識は非常に脆弱であると言わざるを得ない▼毎年のように起こる洪水や大地震などの自然災害への対策不足、原発は事故を起こさないという安全神話なども危機管理意識の欠如の例である。新型コロナ感染症も2類相当とされたが、頼みの保健所を削減していたため、濃厚接触者の隔離政策もあっという間に破綻してしまった▼ウクライナ侵攻に円安も重なり、小麦やガソリンなどの食料や資源の価格が高騰している。日本の食糧自給率は4割を切っており、上昇する気配もない。戦争がさらに拡大すると、諸外国の農産物生産にも影響を及ぼし、日本に食料を輸出してくれなくなる恐れもある。ウクライナ侵攻をめぐっては、中国による台湾侵攻危機で日本本土も攻撃されかねないと主張する人もいる▼危機管理は、医療でいうところの予防である。日本や諸外国の軍拡競争が重症化する前に、憲法9条をもとにした諸外国との平和外交に尽力し、他国による侵攻を予防するしかない。軍拡競争の末に起こる軍事衝突の先にあるのは、破滅である。(蓮)