2022年4月25日(2004号) ピックアップニュース
女医の会インタビュー 32
篠山の子育てのお役に立ちたい
丹波篠山市 小嶋 みち
夫が代々、丹波篠山市の医師の家系です。結婚後すぐにここに来て、内科の夫とともに小児科の診療をしています。もうすぐ20年になりますが、4人の子の出産・子育てと家事、診療。どれも無理しすぎないようにほどほどに手を抜くことを意識しながら、細く長く続けてこられたかなと思っています。患者さんと距離が近い開業医として、めざすは「不安になったお母さんが気軽に相談できるおばちゃん先生」です。
母親の立場から地域に病児保育が要るとずっと思っていましたが、運営は基本赤字と聞いていて、なかなか踏み出せませんでした。でも、市が子育てしやすい町を打ち出したことを受け話が進み、5年前に市の委託という形で、病児保育室「にこにこ」をスタートすることができました。
この辺りは祖父母と一緒に暮らしている世帯も多いので、それほど利用者が多くないと思われるかもしれませんが、農家が多いので農作業が忙しかったり、Iターンで都会から移住してきた世帯も徐々に増えているので、当初の予想より多くの方に利用いただいています。
ただ、2年前、新型コロナで緊急事態宣言が出た頃は利用者がゼロの日が続き、不安な日々でした。保育士もモチベーション維持が大変で、医院の手伝いをしてもらったりして何とか耐え、最近は徐々に利用者も戻ってきました。より利用しやすくなるように、毎年の利用者アンケートをもとに、時間延長や設備の見直しなどを行っています。
コロナで診療も病児保育も非常に神経を使います。第6波では発熱外来で目が回るような忙しさでした。
コロナ禍はもう2年以上続き、子どもの精神疾患が増えていると言われ、ストレスなどで苦しむ子どもや親御さんが地域に隠れていると思います。生まれたときから周りの皆がマスクを着けている1~2歳の子どもは、マスクを嫌がらないどころか大好きで、自ら着けたがる子も増えていて、心配になります。子どもが相手の表情を読むことができなくなるとも言われていますね。こんな時こそ、新型コロナ以外の病気を丁寧に鑑別し、子どもとしっかり対面して診療することを心がけています。そして他の機関とも協力しながら丹波篠山の子育てを支援し続けたいと思います。
保険医協会には、いつも事務員が保険請求など困った時に大変お世話になっています。女性医師・歯科医師の会があって、働き方などの問題を交流する場があるというのも大事と思います。
篠山は自然が豊かで、田植えが終わった、5月頃の田んぼがきれいで、一番好きですね。食べ物もおいしいですし。最初は慣れませんでしたが、今は心からこう言いたいです。「篠山ええとこやで~!」