2022年5月25日(2006号) ピックアップニュース
燭心
国内におけるオミクロン株は、依然として高い水準で蔓延し続けている。しかし公共放送では、国内の感染症の動向よりもウクライナ情勢を真っ先に報道するようになっている。さらに緩衝国として軍事的中立を保ってきた国々もロシアに対抗する「歴史的転換」に踏み切る動きも伝えられている▼しかし、ロシアのウクライナ侵攻は、大国による一方的な侵略とは異なるものだ。ウクライナはNATO諸国がミサイルなどを支援し、両者とも互角であると言える。戦争はおそらく長期化・膠着化し、全世界へのダメージは計り知れないものになりかねない▼国内ではウクライナ情勢に乗じて、湾岸戦争以来なされてきた、憲法9条改定に関する議論が、新しい局面に入りつつある。しかし、憲法制定以来、政権与党が実際に改憲の発議に踏み切ることは一度もなかった。これは、憲法9条は「諸外国の圧力」ではなく、未来永劫に平和を祈願する私たち国民が、世代を超え「自らの意思」により選択したものであること、また国民投票をする前の世論調査の段階で、改憲が不可能であることが分かりきっていたからである▼一方で、憲法9条は制定以来、まだ本来の定義通りには実行されていない。今私たちが世界の紛争解決のためになしうる、最も強力かつ現実的なことは「憲法を実行する」ことではないだろうか。その手段としての一歩は困難ではない。まさに今、みなが「憲法の実行を求めます」と公にツイートしようではないか(眞)